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過料 かりょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

過料
かりょう

(1) 鎌倉時代の刑罰の一つで,過怠の別称。また江戸時代,庶人に科せられた刑罰の一つで,罪科を銭貨で償わせるもの。 (2) 現行金銭罰の一種であるが,刑罰たる罰金および科料と区別され,行政上の秩序罰としての過 (土地収用法など) および民事上ないしは訴訟法上の秩序罰たる過料 (民法,民事訴訟法など) ,懲戒罰としての過料 (公証人法) ,執行罰としての過料 (砂防法) の3種がある。過料は刑罰ではないので,刑法総則および刑事訴訟法は適用されない。

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デジタル大辞泉の解説

か‐りょう〔クワレウ〕【過料】

国または地方公共団体が、行政上の軽い禁令を犯した者に科する金銭罰。刑罰としての罰金科料と区別される。あやまちりょう。
中世、過失などの軽い罪を償うために科した金銭。
江戸時代、本刑に代えて科した金銭。

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百科事典マイペディアの解説

過料【かりょう】

おもに行政上の義務強制や制裁のために違反者に対して科せられる金銭罰。行政上の間接強制手段であって,犯罪に対する刑罰としての科料罰金とは異なり,刑法総則の適用はなく,その科罰手続については刑事訴訟法の適用もない。
→関連項目南山御蔵入騒動

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世界大百科事典 第2版の解説

かりょう【過料】


[歴史]
 江戸時代の刑罰のうちの一種で,比較的軽い犯罪に対して科された財産刑中世に淵源をもち,幕府法,諸藩法にみられ,また村法,仲間法などの民衆法にも制裁として存在した。幕府刑法においては,1718年(享保3)以降体系化が進み,過料(3貫文または5貫文),重き過料(10貫文),身上(しんしよう)に応じ過料(財産にしたがって納付額が定められる),小間(こま)に応じ過料(家並みに課し,間口に応じて割り付ける),村高に応じ過料(村に対し,石高に応じて課する)などに整理された。

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大辞林 第三版の解説

かりょう【過料】

行政上の義務の履行を強制する手段として、あるいは法令の違反に対する制裁ないしは懲戒として科せられる金銭罰。科料・罰金と違って刑罰ではなく、刑法・刑事訴訟法は適用されない。 〔法曹界では「科料」と区別するため「あやまちりょう」と読むことがある〕
中世・近世、軽い罪の償いとして金銭を出させたこと。また、その金銭。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

過料
かりょう

国または公共団体が国民に対して科する金銭罰で、刑法上の刑罰以外のもの。刑罰の一種である科料と区別するため、科料を「とがりょう」とよび、過料を「あやまちりょう」とよぶことがある。過料は刑罰ではないから、刑法総則の適用はなく、これに関する一般原則の定めもない。公訴時効や刑の時効に相当するものもない。このように過料は刑罰と性質を異にするものの、いかなる場合に刑罰を科すか、過料を科すかについて法律の規定はかならずしも統一的ではないといわれる。しかも、過料の規定はきわめて多く、その性質は多様であるが、一般に次の3種類に分けられる。
(1)懲戒罰としての過料 一定の職業ないし身分にある者が職務上の義務に違反した場合に科せられる。公証人法第80条以下、裁判官分限法第2条に例がある。監督官庁がこれを科する。
(2)執行罰としての過料 行政上の強制手段の一つで、一定の期間内に行政上の義務の履行がない場合に一定の過料に処すべき旨を予告し、それによって心理上の圧迫を加え、もって義務者に自らその義務を履行させることを目的とする。第二次世界大戦前は行政執行法により一般的に認められていたが、戦後は砂防法第36条に条文の整理漏れの形で残っているだけで、用いられたことはないといわれる。ただ、労働委員会の命令に従うべき旨の裁判所の命令に違反した者に対し、履行するまで1日10万円ずつ増えていく過料を科すとの規定(労働組合法32条)は一種の執行罰である。また、建築基準法違反の間接強制方法として導入せよとの提言があるが、採用されていない。
(3)秩序罰としての過料 法律秩序を維持するために法令に違反した者に制裁として科せられる。次のように広く各分野にみられる。
 私法秩序を維持するための命令・禁止に違反した者に制裁として科せられるもの。民法、商法、会社法、戸籍法など広く散在する。
 訴訟手続に関する命令または禁止に違反したことに対する制裁として科する。民事訴訟法、刑事訴訟法、民事調停法、法廷等の秩序維持に関する法律、家事事件手続法などに規定がある。
 さらに地方公共団体は条例違反、長の制定する規則違反には過料の規定を置くことができる(地方自治法14条3項、15条2項)。
 過料を科す手続は特則がない限り非訟事件手続法による。地方公共団体の条例・規則で定める過料については地方公共団体の長が、弁明手続を経て(地方自治法255条の3)科し、納付しない者からは地方税の滞納処分の例により徴収することができる(同法231条の3)。[阿部泰隆]

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世界大百科事典内の過料の言及

【過怠】より

…1232年(貞永1)の《御成敗式目》では,謀書に関する罪科(15条)などに寺社の修理を課し,1235年(文暦2)には京都大番役を怠った西国御家人に清水寺橋修理を命じている。侍に対し所領没収より軽い罪に過怠を科したが,侍以外にも行われるようになり,銭貨を称すときは過料,過銭と称する。江戸幕府法になると過料が,特に《公事方御定書》以降広く行われるようになり,御定書では隠し鉄砲の村方惣百姓が過怠として御留場の鳥番を命じられたのが過怠の唯一の例となる。…

【行政罰】より

…行政法規やそれに基づく行政行為によって課せられた義務の違反に対して,制裁として科せられる罰を行政罰といい,行政罰を科せられるべき義務違反を行政犯という。行政罰のうち,刑法に刑名のあるもの(懲役,罰金,科料等)を行政刑罰といい,過料という名称のものを行政上の秩序罰という。行政罰のうち,警察上の義務違反に対して科せられるものを警察罰,経済統制上の義務違反に対して科せられるものを統制罰,財政上の義務違反に対して科せられるものを財政罰という。…

【盗み】より

…以上のような厳刑主義は,必ずしも人心に適合しなくなり,あるいは被害届に金額9両3分2朱と書き,あるいは〈忍入りの盗〉を〈戸明きの盗〉〈手元の盗〉として扱うなど,事実を曲げて刑を減軽化する傾向が見られた。なお江戸時代の村法には,盗犯に対して村が過料を科す等の処罰を行うことを定めたものがあり,軽微な盗犯は村内で処理されることもまれではなかった。【林 由紀子】。…

※「過料」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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