アメリカのSF作家アイザック・アシモフ著の壮大な未来叙事詩三部作(1942~49)。はるかな未来、広大な銀河系宇宙を傘下に収めた大銀河帝国に没落の兆しが現れる。帝国が崩壊すれば各太陽系は小王国に分裂し、人類はふたたび原始の暗黒時代に逆行するであろう。このとき心理歴史学の天才ハリ・セルダンは暗黒時代の再現を最小限に食い止めるための方策を予言し、科学者たちの根拠地として二つのファウンデーション(基地)を銀河の両端に設置した。しかし惑星テルミナスに置かれた第一ファウンデーションは、旧帝国にかわって台頭した宇宙の覇王ミュールの挑戦を受けることになる。彼は超能力を備えたミュータントで、セルダンの天才をもってしてもかかる超人の出現は予測しえなかった。ミュールの正体は何か? そして第二ファウンデーションの所在は? 謎(なぞ)の解明が強烈なサスペンスを生むアシモフの代表作。
[厚木 淳]
『厚木淳訳『銀河帝国の興亡』三部作(創元推理文庫)』
…在学中からSFを書きはじめ,日本では50年代中ごろから広く読まれるようになった。《アスタウンディング》誌の編集長J.W.キャンベルの助言によってまとめたロボット工学の三原則に基づくロボット物(《わたしはロボット》《鋼鉄都市》など)や,E.ギボンの《ローマ帝国衰亡史》を思わせるファウンデーション・シリーズ(《銀河帝国の興亡》)などの未来叙事詩,ファン投票により世界SF大会で授与される伝統ある〈ヒューゴー賞〉の受賞作品集における機知にあふれた著者紹介などにより知られているが,200冊を超える著作のかなりの部分を,数学,物理学,天文学,化学,生物学,歴史など幅広い分野にわたる啓蒙解説書が占める。また,ミステリー(《黒後家蜘蛛の会》など)にも意欲を示し,SFの中にもその傾向がみられるものがある。…
※「銀河帝国の興亡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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