改訂新版 世界大百科事典 「銅鉱物」の意味・わかりやすい解説
銅鉱物 (どうこうぶつ)
copper mineral
主要成分として銅を含む鉱物をいう。銅は硫黄との親和性が強いので,硫化物がもっとも重要である。このほか酸化物,水酸化物,炭酸塩,硫酸塩,塩化物など種々の化合物をつくり,銅鉱物として235種以上が知られている。そのうち主要なものは自然銅Cu,黄銅鉱CuFeS2,キューバナイトcubanite CuFe2S3,斑銅鉱Cu5FeS4,輝銅鉱Cu2S,コベリンCuS,硫ヒ銅鉱Cu3AsS4,ルゾナイトCu3AsS4,スティビオルゾナイトstibioluzonite Cu3SbS4,四面安銅鉱Cu12Sb4S13,四面ヒ銅鉱Cu12As4S13,ウィッチチェナイトwittichenite 3Cu2S・Bi2S3,赤銅鉱Cu2O,黒銅鉱CuO,ラン銅鉱Cu3(CO3)2(OH)2,クジャク石Cu2(CO3)(OH)2,ケイクジャク石CuSiO3・nH2O,ブロシャンタイトbrochantite Cu4(SO4)(OH)6,アタカマイトCu2(OH)3Clなどである。これらのうち,初生鉱物としては黄銅鉱がもっとも一般的である。赤銅鉱,黒銅鉱などの酸化鉱物,ラン銅鉱,クジャク石などの炭酸塩鉱物,ブロシャンタイトおよびアタカマイトなどは風化作用による二次鉱物として産するのが普通である。銅鉱物を多量に産する鉱床としては,(1)斑岩型銅鉱床および熱水性銅鉱脈--黄銅鉱,斑銅鉱,輝銅鉱,コベリン,硫ヒ銅鉱,ルゾナイト,四面安銅鉱,(2)堆積性銅鉱床--輝銅鉱,斑銅鉱,黄銅鉱,自然銅,(3)サドベリー型正マグマ鉱床--黄銅鉱,キューバナイト,斑銅鉱,(4)含銅硫化鉄鉱床--黄銅鉱,(5)接触交代鉱床--黄銅鉱,キューバナイト,斑銅鉱,四面安銅鉱,(6)黒鉱(くろこう)鉱床--黄銅鉱,四面安銅鉱,四面ヒ銅鉱,斑銅鉱,などがある。
→銅
執筆者:鞠子 正
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報