改訂新版 世界大百科事典 「硫ヒ銅鉱」の意味・わかりやすい解説
硫ヒ(砒)銅鉱 (りゅうひどうこう)
enargite
化学組成Cu3AsS4の鉱物。斜方晶系(偽六方晶系)。普通c軸に延びた柱状自形結晶を示す。ウルツ鉱の構造のZnの位置にCuとAsを秩序配列させた結晶構造を持つ。同じ組成でセン亜鉛鉱型構造のルゾナイトは低温型である。(320)で双晶の結果,星状を呈する。また不規則な放射状,塊状および{001}に平行な板状としても産する。へき開{110}に完全,{100}と{010}に明瞭。鋼灰~鉄黒色,条痕灰黒,金属光沢不透明。モース硬度3.5,比重4.4。重要な銅鉱石である。日本では浅熱水性鉱床の北海道手稲鉱山,各地黒鉱鉱床などに産する。また世界各地から産するが,とくにアメリカ(モンタナ州ビュートなど)をはじめ,ペルーのセロ・デ・パスコ,チリのチュキカマタ,アルゼンチンのファマティナ山脈など環太平洋地域に多産する。
執筆者:小沢 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報