孔雀石(読み)クジャクセキ

デジタル大辞泉 「孔雀石」の意味・読み・例文・類語

くじゃく‐せき【×雀石】

水酸化銅炭酸銅からなる鉱物緑色光沢がある。針状または塊状産出単斜晶系。銅の鉱石、また飾り石・顔料花火原料などに利用マラカイト

くじゃく‐いし【×雀石】

くじゃくせき(孔雀石)

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精選版 日本国語大辞典 「孔雀石」の意味・読み・例文・類語

くじゃく‐せき【孔雀石】

  1. 〘 名詞 〙 銅の含水炭酸塩鉱物。明緑色、暗緑色ダイヤモンド光沢またはガラス光沢をもつ。単斜晶系。短柱状、長柱状、針状、繊維状集合体結晶銅鉱床などの金属鉱床の酸化帯に二次成鉱物として産出する。装飾、顔料、花火原料などに用いられるほか銅鉱石ともなる。マラカイト。〔雲根志(1773‐1801)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「孔雀石」の意味・わかりやすい解説

クジャク(孔雀)石 (くじゃくいし)

マラカイトmalachiteともいう。化学成分Cu2OH2CO3,単斜晶系に属する鉱物で,銅鉱床の上部酸化帯または二次富鉱帯に産する。装飾用,顔料,また花火の原料として使われる。大きい結晶はまれで,繊細な針状,多くは塊状または皮殻状,放射状の集合体をなす。もろい。モース硬度3.5~4,比重3.9~4.05,双晶面(100)。へき開は{201}に完全,{010}に明確。半透明ないし不透明,輝緑色,結晶はダイヤモンド光沢よりややガラス光沢に近く,集合体は絹糸光沢,ベルベット状光沢をもち,しばしば無艶または土状光沢。秋田県仙北郡荒川鉱山に多産した。
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マラカイトは,ギリシア語のmalakos(柔らかい)またはmalachē(ゼニアオイ)が語源とされる。その色は主成分の銅によるものである。特徴的な同心状縞目模様は,あたかもクジャクの羽を思わせ,和名の由来になっている。モース硬度3.5~4のため,着用宝石としては耐久性の上でやや劣るが,印章や彫刻品,置物などには高価な製品がつくられている。この緑色はマラカイトグリーンという色彩名称を生み,その粉末は古くから顔料,岩絵具として重要なものであった。主要産地は銅産出の多いコンゴ民主共和国,ザンビア,ナミビア,アメリカ,メキシコ,オーストラリアなどである。
執筆者:

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化学辞典 第2版 「孔雀石」の解説

くじゃく石
クジャクセキ
malachite

Cu2(OH)2CO3.銅鉱床の酸化帯などに鮮やかな色をなして産出する.単斜晶系,空間群 P 21/a,格子定数 a0 = 0.950,b0 = 1.197,c0 = 0.324 nm.β = 98°45′.単位胞中に4個の基本組成が含まれる.密度4.05 g cm-3.硬度3.5~4.柱状結晶として産出することもあるが,多くは繊維状,放射状の集合体として産出し,表層はぶどう状,花弁状などを呈する.へき開{01}完全.金剛光沢,繊維状集合体では絹糸光沢,緑~黒緑色で飾石に用いられる.

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百科事典マイペディア 「孔雀石」の意味・わかりやすい解説

クジャク(孔雀)石【くじゃくせき】

マラカイトともいう。銅の炭酸塩鉱物で,組成はCuCO3・Cu(OH)2。各種銅鉱床の酸化帯にラン銅鉱2CuCO3・Cu(OH)2などとともに二次鉱物として産出。緑色または黒緑色で,ダイヤモンド光沢をもち半透明。単斜晶系で細針状または繊維状の結晶が多い。硬度3.5〜4,比重4.05。装飾用,銅鉱石などに利用される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「孔雀石」の意味・わかりやすい解説

孔雀石
くじゃくいし
malachite

Cu2(OH)2CO3 。単斜晶系に属する銅の鉱石鉱物。硬度 3.5~4,比重 4.05。柱状結晶で繊維状集合体をなして産する。絹糸光沢,きれいな緑色を呈する。銅鉱床上部の酸化帯に産する。

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世界大百科事典(旧版)内の孔雀石の言及

【化粧品】より

…紅はベニバナやヘンナから抽出される赤色染料や,朱(硫化水銀),べんがら(酸化第二鉄),鉛丹(四三酸化鉛)などの赤色顔料が使われていた。また,古代エジプトの目のまわりに大きな緑色の輪をつくる化粧はクジャク石(塩基性炭酸銅)の粉末を塗ったもので,これは強烈な太陽光線から目をまもるためとも,ハエや伝染病を防ぐためともいわれている。また,灼熱の太陽から肌をまもるための軟膏もつくられていた。…

※「孔雀石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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