斑銅鉱(読み)ハンドウコウ(その他表記)bornite

翻訳|bornite

精選版 日本国語大辞典 「斑銅鉱」の意味・読み・例文・類語

はんどう‐こう‥クヮウ【斑銅鉱】

  1. 〘 名詞 〙 銅・鉄の硫化鉱物。正方晶系。赤褐色であるが、空気中で容易に酸化されて赤紫・青色のまだらが生じる。銅の鉱石。
    1. [初出の実例]「専ら富良なる黄銅鉱にして、時々、斑銅鉱、硫銅鉱、黝銅鉱、藍銅鉱等を混じ」(出典:風俗画報‐二三四号(1901)鉱脈)

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最新 地学事典 「斑銅鉱」の解説

はんどうこう
斑銅鉱

bornite

化学組成Cu5FeS4の鉱物。直方晶系,空間群Pbca, 格子定数a1.095nm, b2.186, c1.095, 単位格子中16分子含む。銅赤色不透明で金属光沢のある六面体結晶,通常は粒状または緻密塊状,空気に触れると直ちに帯紫紅色と変わる。(111)で双晶を形成。劈開{111}痕跡状,断口貝殻状~不規則,もろい,硬度3,比重5.06~5.08。条痕淡灰黒色。反射顕微鏡下では褐紅色,反射多色性・異方性ともになし。閉管ではSのかすかな昇華物ができる。木炭上で還元炎で熱すると溶融し,もろい磁性のある小球となる。HNO3に可溶。高温型は228℃以上で安定で,格子定数a0.55nmの面心立方格子だが,準安定相(空間群Fd3mまたは, 格子定数a1.094nm)を経て,単純正方格子の低温型となる。苦鉄質岩・接触交代鉱床熱水鉱床ペグマタイトおよび各種銅鉱床の二次富化帯に産する。変質して輝銅鉱黄銅鉱などに変わる。オーストリアの鉱物学者Ignatius von Born(1742~91)にちなみ命名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「斑銅鉱」の意味・わかりやすい解説

斑銅鉱
はんどうこう
bornite

銅の硫化鉱物の一つ。二次鉱物として黄銅鉱を主とする銅鉱石の地表での分解によって生成され、また初生鉱物として、深~浅熱水鉱床黒鉱鉱床、接触交代鉱床(スカルン型鉱床)、含銅硫化鉄鉱床などに産する。自形はきわめてまれで産地が局限され、日本ではまだ知られていない。多く塊状で他の銅鉱物とともに高品位銅鉱石を構成する。空気中でただちに変色し、銅赤色から青紫色となる。日本では、兵庫県明延(あけのべ)鉱山(閉山)、徳島県山川町(現、吉野川市)高越(こうつ)鉱山(閉山)、青森県上北(かみきた)郡天間林(てんまばやし)村(現、七戸(しちのへ)町)の上北鉱山(閉山)などが有名な産地であった。英名はオーストリアの鉱物学者ボルンIgnaz von Born(1742―1791)にちなむ。

[加藤 昭 2018年5月21日]


斑銅鉱(データノート)
はんどうこうでーたのーと

斑銅鉱
 英名    bornite
 化学式   Cu5FeS4
 少量成分  Ag,Se
 結晶系   直方(擬等軸)
 硬度    3
 比重    5.07
 色     銅赤
 光沢    金属
 条痕    灰黒
 劈開    無
       (「劈開」の項目を参照)
 その他   2000年代以降公表されている分析値はほとんどCu5FeS4に対してCuの不足を示している。これに言及する場合はCu-depleted bornite(銅不足斑銅鉱)という表現が用いられる

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改訂新版 世界大百科事典 「斑銅鉱」の意味・わかりやすい解説

斑銅鉱 (はんどうこう)
bornite

銅鉱物の一種。成分Cu5FeS4(銅63%)で,斜方晶系,まれに六面体をなすが,一般には塊状・粒状の結晶。モース硬度3,比重5.1。新しい破面は赤銅色であるが,空気中で表面が紫色に変化する。この色の変化が斑状に起こるのでクジャク銅鉱peacock copperとも呼ばれ,斑銅鉱と名づけられている。各種の銅鉱床の二次富化帯に見られ,著しく鉱石の品位を上げる。黄銅鉱CuFeS2が分解し,鉄分は褐鉄鉱として沈殿し,相対的に銅分が濃集した結果生成すると考えられる。
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百科事典マイペディア 「斑銅鉱」の意味・わかりやすい解説

斑銅鉱【はんどうこう】

銅の鉱石鉱物の一種。組成はCu5FeS4。斜方晶系。まれに六面体をなすが,通常は塊状・粒状の結晶。硬度3,比重5.06〜5.08。金属光沢をもつ。新しい断口は銅赤色と褐色のまだらで,空気中で紫,褐,青,赤などの美しい色彩になる。条痕(じょうこん)は淡灰黒色。銅鉱床中に広く分布。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「斑銅鉱」の意味・わかりやすい解説

斑銅鉱
はんどうこう
bornite

Cu5FeS4 。正方晶系の鉱物。約 230℃以上では立方晶系。比重 5.06~5.08,硬度3。金属光沢。銅赤色。錆色は青,紫,赤など。条痕は淡灰黒色。高温では輝銅鉱,方輝銅鉱との間に連続固溶体を形成する。銅の主要鉱石鉱物。

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