銜・含(読み)くくむ

精選版 日本国語大辞典 「銜・含」の意味・読み・例文・類語

くく・む【銜・含】

[1] 〘他マ四〙
① 口の中に入れて保つ。口にふくむ。ふふむ。
書紀(720)天武元年七月(北野本訓)「夜半を以て梅(くちき)(ククム)で城を穿て劇(あわて)営の中に入る」
蜻蛉(974頃)下「氷(ひ)くくみたる声にて」
② 中にはめこむ。また、外面を包んで飾る。
平家(13C前)一二「金にてうちくくんだる腰の刀にて」
③ 心にとどめる。意趣を含む。
※賀茂女集(993‐998頃)「かへりては身のうきことを、親の結べる心のうちに、いつかあらはひくくむごと、なくなくこもりありければ」
④ 挟んで保つ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
表面に加えもつ。ふくむ。
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「壺々口の緊笑ひにも愛嬌をくくんで」
[2] 〘他マ下二〙 ⇒くくめる(銜)

くく・める【銜・含】

〘他マ下一〙 くく・む 〘他マ下二〙
① 口の中に入れてやる。口に含ませる。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「御薬、父の中納言の懐にて、くくめ奉り」
浄瑠璃八百屋お七(1731頃か)下「云訳の仕様をば、くくめる様にの給へども」
事情をのみこませる。納得させる。→いいくくむ
③ 世阿彌が能について用いた語。ゆるめる。ゆるやかに行なう。
申楽談儀(1430)定まれる事「序をば序と舞、せめをばせめと、せめつくくめつすること、定れる也」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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