独立して訪問看護ステーションを開設し、運営する資格をもつ看護職者。看護師が専門的ケアを独自に提供できる唯一の形態で、開業によって訪問看護を中心としたケアを提供することが可能となる。1992年(平成4)の制度発足以降、訪問看護を利用する在宅療養患者は急速に増えており、2013年(平成25)には40万人を超えている。加えて、在宅での死を望む末期癌(がん)患者や、重度障害児あるいは精神障害者などケアの対象も多様化し、医療機器やチューブ装着を要する患者など、重症度が高まるにつれて高度の専門的ケアを必要とする対象者も増えてきている。さらに高齢者や認知症患者に対する介護の形態も、老年者が老年者を介護する老老介護、認知症患者が認知症患者を介護する認認介護などに代表されるように、家族介護の体制が崩れたり、複雑化したりしている。
こうした社会の変化と医療ニーズの高度化や複雑化に伴い、訪問看護の必要性はさらに高まっている。1994年の健康保険法の改正に伴って訪問看護の対象が在宅療養者にまで広がったとはいえ、活動の拠点となるのは訪問看護ステーションや医療機関であり、法的な制約も多く開業看護師が一人で自由に活動できる体制は十分に整っているとはいえない。非営利団体「開業看護師を育てる会」ではこうした規制の撤廃を訴え、在宅療養者や障害者が「かかりつけ看護師」を活用できるような地域ケア体系の実現を目ざしている。
[編集部]
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