閑中録(読み)かんちゅうろく

改訂新版 世界大百科事典 「閑中録」の意味・わかりやすい解説

閑中録 (かんちゅうろく)

朝鮮李朝の宮廷小説の一つで,《恨中録》ともいう。作者英祖次男思悼世子の妃であり,正祖の母である恵慶宮洪氏。父王により死を命じられ悲しい最後をとげた夫君の哀話と,60年の生涯のあいだ見聞した事柄を写実的な筆致で描く(第1巻,1795)。その後,71歳(1805)のときまで,嫁の嘉順宮(純祖の母)の勧めによって,党争にからんだ実家の豊山洪氏の怨憤をはらすために続編を書きつぎ全6巻となった。洪氏は文章の才に秀で,作る文はすこぶる流暢で典雅である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「閑中録」の意味・わかりやすい解説

閑中録
かんちゅうろく
Hanjung-rok

朝鮮,李朝第 21代の王英祖の世子妃であり,第 22代の王正祖の母であった恵慶宮洪氏 (1735~1815) が書いた自伝的回顧録。『恨中録』『閑中漫録』ともいう。党争の犠牲となり,父王英祖の手で殺された夫である思悼世子の死を中心に,みずから体験した宮中陰謀を写実的に表現した記録文学白眉である。当時の宮中の模様や,党争により分裂した貴族層の理解に役立つ史料でもある。

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