英祖(読み)えいそ(英語表記)Yǒng-jo

改訂新版 世界大百科事典 「英祖」の意味・わかりやすい解説

英祖 (えいそ)
Yǒng-jo
生没年:1694-1776

朝鮮,李朝第21代の王。在位1724-76年。文芸復興の王として知られ,31歳で即位し李朝では最長の治世52年に及んだ。即位当初から臣下間の党争調停に心をくだき,蕩平策とよばれる各派閥から人材を登用する政策をとり,臣下との調和に努めた。また社会政策の面でも度支定例や均役法などの財政税制改革を行い,寛刑の実施,申聞鼓とよばれる民衆の直訴制度の復活など,王道理念からする数々の政策を実施した。その基礎には《六典》や《続大典》などの法典の整備,《続五礼儀》や《東国文献備考》などの一種の百科事典編纂事業などがあった。晩年にはみずからの手で実子である思悼世子を暴虐行為を理由にひつの中に閉じこめて死にいたらしめるという悲劇をうみ(1762),その妥当性をめぐって臣下間に時派(世子に同情),僻派(世子を批難)の党争を生んだが,自身は耆老(きろう)所(一種の敬老組織)で天寿を全うした。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「英祖」の意味・わかりやすい解説

英祖(沖縄)
えいそ
(1229―1299)

沖縄の黎明(れいめい)期の王と伝えられる人物。太陽(てだ)の子といわれ、神号を恵祖日子(えそのてだこ)と称した。国中に飢饉(ききん)や疫病がはやり人民の生活が疲弊したおり、時の王義本(ぎほん)は臣下の勧めにより英祖をして政事をとらせたところ、災いはすっかり収まったので、これをみた義本は英祖に位を譲ったのだという(1259)。英祖の治政になると、沖縄の各島から入貢が相次ぎ、国勢も安定するようになった。浦添(うらそえ)に極楽(ごくらく)寺を建立し、禅鑑(ぜんかん)なる僧侶(そうりょ)を重用して仏教の奨励にも努力したという。琉球(りゅうきゅう)王国形成の前史に登場する王ではあるが、伝説のベールに包まれ経歴はほとんど不明。浦添市の浦添ヨウドレは彼の墓である。

[高良倉吉]


英祖(朝鮮)
えいそ
(1694―1776)

朝鮮王朝(李氏(りし)朝鮮)の第21代王(在位1724~1776)。姓名は李(りきん)。党争の弊害を除くため、いわゆる「蕩平之策(とうへいのさく)」をとって人材の公正な採用を図り、財政の改革と均役法の確立、過酷な刑罰の廃止、国防の充実、農業の奨励などの諸事業を行って積弊を改めた。さらに暦法を改正したほかに、『東国文献備考』をはじめとする多くの書物を編纂(へんさん)した。これらの政策は次代の正祖に引き継がれ、のちに英正時代と称される文化復興の時代を現出した。

[山内弘一]

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百科事典マイペディア 「英祖」の意味・わかりやすい解説

英祖【えいそ】

朝鮮王朝第21代の王。在位1724年より76年で,朝鮮王朝で最長の治世を記録している。孫の第22代の正祖の治世と続き,英祖・正祖時代は朝鮮王朝のルネッサンスとも呼ばれる。英祖は,党派均衡の人材登用につとめ,臣下と王室の調和を図り,また財政・税制改革に取り組み,民衆の直訴制度を復活させるなど内政の改革に尽力した。また古今の文物制度を通覧する《東国文献備考》の編纂や法典の整備なども行い,文治主義の実現につとめたが,晩年の1762年に実子の思悼世子を暴虐行為を理由に櫃に閉じこめて死に追いやるという悲劇を出来させ,その妥当性をめぐって臣下間に党派的な争いを生んだ。

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朝日日本歴史人物事典 「英祖」の解説

英祖

没年:英祖40.8.5(1299.8.31)
生年:舜天43(1229)
琉球国の黎明期に君臨したと伝えられる王。沖縄本島の浦添を勢力圏としていた恵祖(伊祖)の子で,母親が太陽の夢を見て懐妊したという伝説がある。英祖1(1260)年に即位して以後,40年間にわたり王の座に君臨したといわれる。英祖5(1264)年,久米,慶良間,伊平屋などの各島からはじめて入貢があり,同7年には奄美からも進貢が行われた。このように周辺の島々を服属させる一方,国内の田野をめぐり耕地の境界を正し民力をひとしくして生産を高めるなど,善政をしいた。また,浦添城の西に極楽寺を建立して仏教の興隆にも寄与したと伝えられる。

(真栄平房昭)

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