間質性肺炎(読み)カンシツセイハイエン(その他表記)(Interstitial Pneumonia)

デジタル大辞泉 「間質性肺炎」の意味・読み・例文・類語

かんしつせい‐はいえん【間質性肺炎】

肺炎が肺の間質、すなわち肺胞壁や支持組織部分に起こるもの。放射線・薬剤・ウイルスによるものや、免疫機能の低下で起こるニューモシスチス肺炎などがある。

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家庭医学館 「間質性肺炎」の解説

かんしつせいはいえん【間質性肺炎 (Interstitial Pneumonia)】

 肺は、肺実質(はいじっしつ)と肺間質(はいかんしつ)の2つに分けることができます。
 肺実質とは、酸素を体内に取り込んだり、二酸化炭素(炭酸ガス)を体外へ排出するガス交換の場のことで、空気にふれている部分です。
 これに対して肺間質とは、結合組織などによって、そのようなガス交換の場を形成している、肺の骨格的な部分をいいます(図「肺胞の形態(肺胞壁の模式)」)。
 肺実質におこる病気としては、細菌が原因となって発病する細菌性肺炎(さいきんせいはいえん)が代表的なもので、ふつう「肺炎」といっているのは、こうした感染によっておこる病気です。
 一方、間質性肺炎は、なんらかの原因で、主として肺の間質に炎症がおこり、時間の経過とともに、だんだんに間質の線維成分が増えて、いわゆる線維化(せんいか)という、組織の柔軟性が失われる病変が、間質を中心におこってくる病気です。
 間質性肺炎には、突然発病し、急激に進行して肺の柔軟性が失われ、肺活量など、肺の機能が低下して、その結果、酸素の体内への取り込み不足、呼吸不全(こきゅうふぜん)といった病態になることがあります。このような経過をとるものを、急性間質性肺炎(きゅうせいかんしつせいはいえん)といいます。
 また、肺間質に長い期間にわたり持続的に炎症がみられ、線維化がゆっくりと進むタイプの間質性肺炎もあって、こういう病態を示すものを、特発性肺線維症(とくはつせいはいせんいしょう)、あるいは特発性間質性肺炎(とくはつせいかんしつせいはいえん)と呼んでいます。
 特発性肺線維症という病名は、炎症性病変の終末像である線維化に焦点をあてたものであり、諸外国でよく用いられている病名です。
 一方、特発性間質性肺炎という病名は、肺の炎症のようすを中心に病態をとらえようとするもので、おもに日本で使われています。
 この特発性肺線維症(特発性間質性肺炎)の発症症状の進行は、個人差があるものの、一般的には、非常にゆっくりとしたものです。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「間質性肺炎」の意味・わかりやすい解説

間質性肺炎
かんしつせいはいえん

肺炎

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世界大百科事典(旧版)内の間質性肺炎の言及

【炎症】より

… 形態学的な分類では,各臓器の実質細胞が主として侵されるものを実質性炎parenchymatous inflammationと呼び,実質組織の間の支持組織すなわち間質に炎症が生ずるものを間質性炎interstitial inflammationと呼ぶ。肺炎を例に挙げると,酸素交換を行う肺胞腔に直接障害が生ずる炎症が肺実質性炎,すなわち肺炎であり,呼吸上皮の支持組織である肺胞間に病巣の主体がある場合を間質性肺炎として区別する。このほか,原因として抗原抗体反応が考えられるような炎症はアレルギー性炎allergic inflammationと呼ぶ。…

【肺炎】より

…また,ウイルス性肺炎は2次的に細菌性肺炎を合併して悪化することがある。なお,これら肺胞内への炎症性滲出を主体とする肺炎に対し,肺の間質に炎症を起こす疾患があり,これを間質性肺炎と呼んで前者と区別している。前者は,間質性肺炎に対し,肺胞性肺炎と呼ばれることもある。…

※「間質性肺炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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