改訂新版 世界大百科事典 「闇小作」の意味・わかりやすい解説
闇小作 (やみこさく)
農用地の貸借をする際に,法律によって届出が義務づけられ,法規定に即した貸借を行うことが決められているにもかかわらず,法律を無視して貸借することをいう。闇小作は,貸借当事者にとり,法順守が不利となるか少なくとも積極的利益がないと判断される場合に発生する。日本では,1965年ころから闇小作が多発するが,それが法ルートに乗らなかったのは,当時の農地法が強力な小作者保護を行っていたこと,および農地改革の経験から,貸主が農地法の規制を回避しようとしたことが大きな要因である。70年の農地法改正,80年の農用地利用増進法制定などにより,法律に基づいた正規の貸借が増加してきているが,なお闇小作は相当量にのぼるとみられる。
執筆者:倉内 宗一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報