闘士サムソン(読み)トウシサムソン(英語表記)Samson Agonistes

デジタル大辞泉 「闘士サムソン」の意味・読み・例文・類語

とうしサムソン【闘士サムソン】

《原題Samson Agonistes英国の詩人ミルトンによる劇詩。1671年刊。旧約聖書の「士師しし記」にあるサムソン物語題材とする。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「闘士サムソン」の意味・わかりやすい解説

闘士サムソン
とうしさむそん
Samson Agonistes

イギリスの詩人ミルトンの韻文悲劇。1671年刊。ギリシア悲劇にも比すべき格調の高い作品で、ペリシテ人に捕らえられ、両眼をえぐり取られて、ガザで苦役に服していたサムソンの死を主題としている。作者は、『旧約聖書』の「士師記」中の記事を素材にして、さまざまな誘惑にあい(たとえば和解という形をとった妻デリラの誘惑など)、これをはねのけ、闘技場に出てペリシテ人の命とともに自らも命を絶つ彼の行動を描いている。作者はこれを悲劇とよんでいるが、サムソンの死そのものに焦点を置く限りでは、それは妥当する。しかし、サムソンが罪を犯し、苦しみ、悔い、神の意志に従って行動した事実を考えれば、これは悲劇ではなく、神の摂理を明らかにしようとした「喜劇」である。

平井正穂

『中村為治訳『闘技者サムソン』(岩波文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android