阿多郷(読み)あたごう

日本歴史地名大系 「阿多郷」の解説

阿多郷
あたごう

阿多郡に属し、郡の最南端に位置する近世郷。南から東は河辺郡加世田郷・川辺郷と境を接していた。郷の中央部にはなか(二八七・五メートル)があり、東部は丘陵地帯である。当郷は花瀬はなぜ村・宮崎みやざき(享保一三年まで松田・渡・宮崎三ヵ村)白川しらかわ村・新山にいやま村・中津野なかつの村・浦之名うらのみよう村の六ヵ村からなり、鹿児島藩の外城の一つであった。阿多麓の花瀬村鶴之つるの城跡地頭仮屋が置かれた(三国名勝図会)諸郷地頭系図では、永正一六年(一五一九)頃に阿多忠秋(忠時)、江戸期の最初の地頭に弟子丸宗益入道紹閑(寛永九年死去)がみえ、地頭職高は五〇石であった。天正二〇年(一五九二)四月の薩隅日寺社領注文(旧記雑録)によると、阿多内の寺社領一一町四反余が上知となり、残されたのは寺付五町六反余であった。


阿多郷
あたごう

和名抄」所載の郷。諸本ともに訓を欠くが、アタであろう。「大日本地名辞書」は万之瀬まのせ川北岸の山村である阿多村(現金峰町)とする。「日本地理志料」は、当郷は阿多郡家の所在地で、近世の阿多郷(宮崎・花瀬・白川・新山・中津野・浦之名)とする。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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