雑紙(読み)ぞうし

精選版 日本国語大辞典 「雑紙」の意味・読み・例文・類語

ぞう‐し ザフ‥【雑紙】

〘名〙
① 粗末な紙。また、雑用につかう紙。
東大寺文書‐安元三年(1177)五月二一日・僧定覚送状「雑紙 あたゐは、京殿五十帖、御房四十帖〈参斗麦〉。一束に七升五合、合六斗七升五合」
源平盛衰記(14C前)一八文覚、紙を取向けて見れば、如法雑紙(サウシ)也」
鼻紙。ざっし。

ざっ‐し【雑紙】

〘名〙 鼻紙(はながみ)をいう女房詞。おざっし。〔文明本節用集(室町中)〕
評判記色道大鏡(1678)三「上帯、下帯、楊枝、雑紙(ザッシ)、はきもの等、端女自分にまかなふ」

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デジタル大辞泉 「雑紙」の意味・読み・例文・類語

ざっ‐し【雑紙】

雑用紙。また、鼻をかんだりするのに使う下級の紙。鼻紙。ぞうし。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「雑紙」の意味・わかりやすい解説

雑紙
ざっし

名の知れた品種に入らない、雑用のための和紙。「ぞうし」ともいうコウゾ(楮)を原料とした代表的な薄紙で、中世文献によく現れ、女房詞(ことば)では「やわやわ」といった。京都の上層公家(くげ)社会では、奈良で漉(す)かれたごく薄くてしかも柔らかな紙を日常生活の雑用にあてていたため、雑紙はこの奈良紙(ならがみ)のことを意味していた。

[町田誠之]

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