日本大百科全書(ニッポニカ) 「電子手形」の意味・わかりやすい解説
電子手形
でんしてがた
2008年(平成20)12月施行の電子記録債権法(平成19年法律第102号)に基づき可能になった手形の新しい決済サービス。従来の紙ベースの手形取引にかわる電子決済の仕組みで、電子記録債権(電子債権)の形態の一つ。略称「電手(でんて)」。「電子手形割引」「電子手形譲渡」「期日決済」「分割割引・分割譲渡」などさまざまな債権取引がパソコンやファクシミリによる簡単な操作で実行できる。インターネット時代に適合した新たな決済方法として2009年11月にスタートした。債権情報をコンピュータで管理するため、保管、管理コストが低減する。また紛失、盗難、偽造などのリスクも回避できるほか決済にかかわる日数の短縮などのメリットもある。当初、電子債権を記録・管理する機関は三菱(みつびし)東京UFJ銀行(2018年三菱UFJ銀行に改称)の子会社である日本電子債権機構(JEMCO:Japan Electronic Monetary Claim Organization)のみで、取扱い金融機関が三菱東京UFJ銀行や同行と親密な地方銀行などに限られていた。その後2010年に三井住友銀行系とみずほ銀行系の記録機関が、2013年2月に全国銀行協会の全銀電子債権ネットワーク(通称「でんさいネット」)が稼動し、取扱い金融機関が一気に増加した。同時に全国信用金庫からも「しんきん電子記録債権サービス」を通じてでんさいネットへ接続できるようになった。
[編集部]