日本の銀行業界を代表する組織として、銀行業の発展のために活動する一般社団法人。「全銀協」の略称で知られる。英語の名称はJapanese Bankers Association。1877年(明治10)に創立された銀行団体「択善会」を前身とし、東京銀行集会所、全国銀行協会連合会などを経て1999年(平成11)に全国銀行協会に改組。2011年(平成23)に全国銀行協会と東京銀行協会の業務を集約して現在の組織になった。日本国内で銀行業務を行っている都市銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行、銀行持株会社、農林中央金庫、ゆうちょ銀行、インターネット銀行、外資系銀行のほか、日本各地に58団体ある銀行協会が会員である。会員数は2018年6月時点で253。会長職はみずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行、三菱(みつびし)UFJ銀行の3メガバンクのトップが輪番で務めている。金融経済や銀行経営の調査・研究、銀行業務・事務の改善に関する調査企画、決済制度の運営企画、手形交換制度の整備改善などに取り組み、また、預金貸出金速報、全国手形交換高・不渡手形実数・取引停止処分数などの銀行関連統計を発表している。
インターネットバンキングを悪用した不正送金の急増を踏まえ、個人・法人顧客別の被害状況を公表しているほか、被害を受けた法人に銀行が補償する際の指針を定めた。2012年にLIBOR(ライボー)(ロンドン銀行間取引金利)の不正操作が発覚したのを受け、2014年4月、日本国内の短期金融取引の目安であるTIBOR(タイボー)(東京銀行間取引金利)の算出を担う全銀協TIBOR運営機関を協会内に設立し、管理・運営体制を強化して算出・公表を始めた。また、全国銀行協会は銀行法および農林中央金庫法に基づく指定紛争解決機関であり、銀行に関する相談、照会、苦情、意見などを受け付ける窓口「全国銀行協会相談室」を設置・運営している。法令やルールの遵守、反社会的勢力との関係遮断などを盛り込んだ「行動憲章」を制定しているほかに、金融の知識や金融商品の啓蒙(けいもう)、小中高校への出前授業や教員研修などの金融経済教育、社会貢献活動なども行っている。
[矢野 武 2015年1月20日]
(2014-11-21)
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