日本大百科全書(ニッポニカ) 「電気化学反応」の意味・わかりやすい解説
電気化学反応
でんきかがくはんのう
electrochemical reaction
化学的エネルギーを電気的エネルギーに変える反応、またはこの逆を行う反応全般をさして電気化学反応という。化学反応式中にかならず電子が参加している。前者の例としては、たとえば乾電池とよばれる二酸化マンガン電池があり、炭素と亜鉛の二つの電極と二酸化マンガン、塩化アンモニウムの電解質、減極剤からなり、次の反応により電流が取り出せる。まず陽極では、
2H++2e-―→H2
H2+2MnO2―→Mn2O3・H2O
陰極では、
Zn―→Zn2++2e-
Zn2++2NH4Cl―→Zn(NH3)2Cl2+2H+
である。したがって電池内での全反応は
Zn+2MnO2+2NH4Cl
―→Mn2O3・H2O+[ZnCl2(NH3)2]
である。後者の例としては、電解質溶液に浸した二つの白金電極に外部から電流(電子の流れ)を供給してやると、酸素や水素などが発生する電解反応がある。
[戸田源治郎・中原勝儼]