化学変化
かがくへんか
chemical change
物質が互いに作用しあい、それらの物質が消滅するとともにこれにかわって、新しいいくつかの物質が生成することをいう。これに対して物質の消滅や新生を伴わず、状態、性質、外形のみが変化することを物理変化という。
物質は原子より構成され、その原子間には化学結合が存在する。したがって結合論的にいえば、ある条件のもとで化学結合が解かれて、他種の原子との間で新しい化学結合が生じ新物質が生成することであるといえる。たとえば、水H2Oを電気分解すれば、水素H2と酸素O2になるが、これは水素原子と酸素原子の間の結合が切断され、新たに水素原子間、酸素原子間に結合を生じるためで、これが化学変化である。一方、水が水蒸気や氷になるのは単に形態が変化するにすぎないので物理変化である。
化学変化、物理変化の区別がはっきりしない場合もある。たとえば、食塩を水に溶かすとイオンに解離し、その結果生じたナトリウムイオンや塩化物イオンは、水分子と結合して新しい原子集団を生ずる。また、食塩水を加熱濃縮すると食塩を析出する。すなわち食塩水はあたかも水と食塩とが均一に混ざり合った混合物のようにみえる。したがって、食塩が水に溶ける現象は、単なる形態の変化ではなく、また純粋な化学変化でもない。
[吉田俊久]
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化学変化
カガクヘンカ
chemical change
物質自身が別種の物質に変化するか,あるいはその属性が変化する場合をいう.物理変化に対比される.化学変化を受ける物質内あるいは物質間で原子の組換えが起こるか,あるいはあらたな化学結合が形成される.化学反応と同義であるが,化学変化という場合は変化の結果を重視し,化学反応という場合はその過程を重視することが多い.
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かがく‐へんか クヮガクヘンクヮ【化学変化】
〘名〙 物質が、その分子、原子またはイオンの構造を変えて他の物質に変化すること。物理変化に対していう。また、たんに化学反応をさすこともある。
化学的変化。〔稿本化学語彙(1900)〕
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化学変化【かがくへんか】
物質を構成している原子間に化学結合の組替えが起こって,もとの物質と異なった物質を生ずる変化。→化学反応
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かがくへんか【化学変化 chemical change】
一般に物質系が示す変化のなかで,物質の種類(化学種)が変化する場合を化学変化といい,物質の種類は変化せずその状態のみが変化する場合を物理変化physical changeという。化学変化をひき起こす過程を化学反応といい,化学反応の過程で,反応に関与する物質を構成する分子・原子内で化学結合の切断・生成が起こる。化学変化においては原子の核種は変化せず,反応系の全質量は変化の間一定に保たれる。化学変化が自発的に起こる方向は熱力学第2法則により予測できる。
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