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電池 でんちbattery

翻訳|battery

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

電池
でんち
battery

電気エネルギーを化学的に蓄え,放出する装置。一般の電池は一次電池と二次電池 (蓄電池) に分けられる。一次電池は,内包する化学物質を消費してエネルギーを生む。したがって,その化学物質を使いきるとエネルギーをつくれなくなる。代表的な一次電池に乾電池がある。二次電池は,ある化学物質を別の化学物質に変化させることによってエネルギーを得る。化学変化が完了したらエネルギーは生まれないが,別の電源から電池内に電流を通し,物質を元の状態に戻すことによって,充電することができる。二次電池には,自動車のバッテリーに使われる鉛蓄電池などがある。最初の電池は 1800年にアレッサンドロ・ボルタが発明した。それまで人類は実用的価値のない静電気しか生み出すことができなかった。
ボルタ電池は最も単純な構造の電池で,電極として銅と亜鉛の薄片または棒を,電解液として希硫酸を使用する。銅が陽極,亜鉛が陰極となる。両極の一部を電解液に浸し,電解液の外に出た部分を導線でつなぐと,電流が発生する。ボルタ電池は銅の電極に水素の泡が集まって電子の流れを止めてしまうため,寿命が短かった。 1836年,イギリスの化学者ジョン・F.ダニエルが,この分極と呼ばれる現象を起こさないダニエル電池を発明した。さらに 1866年頃,フランスの化学者ジョルジュ・ルクランシェが分極を起こさないマンガン乾電池を考案した。ルクランシェは,陽極に炭素を,陰極に亜鉛を用い,塩化アンモニウムを電解液とした。この組み合わせでも水素は放出されるが,電池内の炭素と二酸化マンガンの混合物に吸収される。今日の乾電池も同じ素材で構成されている。塩化アンモニウムの電解液はゼリー状で多孔性物質にしみこませてあり,コップ状に形成された亜鉛が容器となっている。電解液が漏れないよう,上部は密封されている。電池全体が鉄製の容器で覆われていることが多い。
二次電池として今日最も一般的に使われているのは,自動車に用いられる鉛蓄電池で,1859年にガストン・プランテが開発した。同じく充電が可能なニッケル-カドミウム電池は 1917年にパリの地下鉄の車内照明として初めて本格的に使用された。
燃料電池は,化学反応によって生じたエネルギーを直接,電気エネルギーに転換するものである。その原理は 1839年,イギリスの物理学者ウィリアム・グローブによって発見された。長らく実用化されなかったが,低公害自動車の動力として開発が進められている。原子力電池は,ストロンチウム 90などの放射性物質から出る放射線を集電装置に取り込む仕組みで,この集電装置が陰極,放射性物質が陽極となる。原子力電池は,高電圧,低電流の電気を生み出すことができる。太陽電池は,太陽光を直接,弱い電流に転換するものである。

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百科事典マイペディアの解説

電池【でんち】

化学電池と物理電池に大別される。前者は化学変化を利用して物質の有する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変えて持続的な電流を外部回路に取り出す装置で,単に電池という場合には一般にこれをさす。
→関連項目可逆電池濃淡電池能動素子

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世界大百科事典 第2版の解説

でんち【電池 cell】

光,熱,化学エネルギーなどを電気エネルギーに変換する装置。化学電池と物理電池に大別される。化学電池は電気化学反応を利用して化学エネルギーを電気エネルギーに変換する装置で,単に電池といった場合は通常化学電池を指す。ほとんどの化学電池では,装置に用いられる化学物質に必要なときだけ化学反応を起こさせて電気エネルギーを取り出すことができるので,電気エネルギーの貯蔵装置にもなる。これに対し,物理現象を利用して他の形態のエネルギーを電気エネルギーに変換する装置が物理電池で,太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する装置は太陽電池と呼ばれ,放射線のエネルギーを電気エネルギーに変換するのが原子力電池である。

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大辞林 第三版の解説

でんち【電池】

化学反応・放射線・温度差・光などにより電極間に電位差を生じさせ、電気エネルギーを取り出す装置。一般に広く用いられているものは化学反応による化学電池で、充電の不可能な一次電池と、充電可能で繰り返し使用できる二次電池とがある。1800年ボルタが最初に作った。 〔訳語として中国語から借用した語〕

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

電池
でんち
batterygalvanic cellvoltaic cell

物質系の変化によって放出されるエネルギーを直接電気エネルギーに変換する発電装置と定義できる。系の化学変化に伴うギブス自由エネルギー変化(物質が定温定圧下で化学反応をすると内部エネルギーが変化するが、その変化のうち仕事に変わりうる部分)を利用するものを化学電池といい、物理的変化を利用するものを物理電池、そして生物的あるいは生物化学的変化を利用するものを生物電池(生物化学電池)という。一般には化学電池を単に電池とよぶことが多い。また物理電池と生物電池などを一括して特殊電池とよぶことがある。
 今日の化学電池の原形は1800年にボルタが亜鉛板と銅板を希硫酸に浸漬(しんし)し、電力を取り出すことに成功したボルタ電池であるといわれる。
 化学電池は基本的には二つの電極と電解質および隔膜から成り立っている。電池を放電すると酸化反応が進行して生じた電子が外部回路側へ流出する電極を負極、また外部回路から電子が流入し還元反応が進む電極を正極とよんでいる。そして負極と正極での起電反応に関与する化学物質をそれぞれ負極活物質および正極活物質という。
 化学電池を表示する場合、放電時に酸化反応がおこる負極を左側に、還元反応がおこる正極を右側に書く。したがって、負極活物質の還元体と正極活物質の酸化体をそれぞれN(Red)およびP(Ox)とすると
  N(Red)|電解質|P(Ox)
で表示できる。そして電極反応は
 (負極)
  N(Red)―→N(Ox)+ne-
 (正極)
  P(Ox)+ne-―→P(Red)
と示すことができ、電池反応は両電極反応の和
  N(Red)+P(Ox)―→N(Ox)+P(Red)
によって与えられる。
 化学電池の起電力(開放電圧)は上記の電池反応のギブス自由エネルギー変化を用い、ネルンストの式から求めることができる。しかし実際には不可逆的な現象を伴うため、ギブス自由エネルギー変化の一部は熱エネルギーなどの形で消費され、オーム抵抗などもあるので、放電中の電池電圧は起電力よりつねに小さくなる。この電池電圧により外部回路に流れる放電電流を用いて電気的な仕事をさせるものが電池である。
 化学電池はその特性に応じて一次電池、蓄電池(二次電池)および燃料電池の3種類に分けることができる。一次電池は不可逆的化学反応を利用し、1回の放電しか利用できないものをいい、化学反応が可逆的で外部電源により電流を逆に流して充電すれば繰り返し使用できるものを蓄電池という。そして燃料電池は、閉じた系内で電池反応を行う一次電池や蓄電池と異なり、燃料(水素、一酸化炭素、炭化水素、メタノールなど)と酸素(空気)を外部から連続的に供給し、燃料の電気化学的酸化反応によって生じる化学エネルギーを直接電気エネルギーとして取り出す電池をさす。このとき反応生成物は連続的に系外へ除去される。
 化学電池は宇宙開発や海洋開発に必要な電源として、また小形可搬形電子機器の電源として重要な地位を確立している。そして電気自動車やハイブリッド・カー用をはじめ、電力負荷平準化用の電源、さらにオンサイト形発電装置として利用されるまでになったが、性能と安全性、信頼性のさらなる向上を目ざして研究開発が精力的に進められている。
 物理電池は外部から光や熱、放射線などのエネルギーを照射して、電池を構成する物質系のエネルギーを高い状態としたのち、物理的、化学的変化によりエネルギーの低い安定な状態に戻るときに放出するエネルギーを直接電気エネルギーに変換するものである。これらには太陽電池をはじめ、光化学電池(光電池)、熱電池、原子力電池などがある。
 生物電池は酵素や微生物のような生物の機能を利用したものである。生物による化学反応を利用しているので、広義には化学電池の一種とみなすことができよう。[浅野 満]
『橋本尚著『電池の科学――生物電池から太陽電池まで』(1987・講談社) ▽高村勉・佐藤祐一著『ユーザーのための電池読本』(1988・コロナ社) ▽竹原善一郎著『電池――その化学と材料』(1988・大日本図書) ▽池田宏之助著『電池の進化とエレクトロニクス――薄く・小さく・高性能』(1992・工業調査会) ▽池田宏之助編著、武島源二・梅尾良之著『「図解」電池のはなし』(1996・日本実業出版社) ▽岡田和夫著『電池のサイエンス――くらしをささえる名脇役』(1997・森北出版) ▽小久見善八編著『電気化学』(2000・オーム社) ▽電気化学会編『電気化学便覧』(2000・丸善) ▽電池便覧編集委員会編『電池便覧』(2001・丸善)』

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