電圧のかかっている2枚の平板導体(コンデンサー)の間に電荷を入れると、その電荷には電気的な力が働く。電界とは、その電荷に力が働く領域をいい、その力の強さを電界強度という。
一方、互いに直交する電界と磁界が空間を伝わる電波に関しては、その強さ(波動の振幅)を電界によって表す電界強度(単位はボルト毎メートル、V/m)のほかに、磁界によって表す磁界強度(単位はアンペア毎メートル、A/m)、または単位面積を通過する電力によって表す電力束密度(単位はワット毎平方メートル、W/m2)が用いられる。
アンテナから放射された電波の電界強度は、距離に反比例して減少する。等方性アンテナ(全方向に均一に電力を放射する仮想の無損失アンテナ)から放射される電力をP(W)とすると、アンテナからd(m)離れた点における電界強度E(V/m)は次式で表される。
ある地点における電界強度E(V/m)と電力束密度S(W/m2)との間には
の関係がある。ここで120πは自由空間インピーダンスといい、約377オームに相当する。また電界強度と磁界強度H(A/m)との間には、E=120πHの関係がある。
一般に放送として受信されるときの電波の電界強度は弱いので、電界強度の単位として、ミリボルト毎メートル(mV/m、ボルト毎メートルの1000分の1)またはマイクロボルト毎メートル(μV/m、ミリボルト毎メートルの1000分の1)が用いられる。良質な電波の受信には、中波の音声放送では約250マイクロボルト毎メートル以上の電界強度が、また標準テレビジョン放送では約500マイクロボルト毎メートル以上の電界強度が必要である。
[若井 登]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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