塗料をタンクに入れ、これに塗装されるべき金属を浸して陽極とし、タンクを陰極として直流電源を通じて、電気めっきのようにして、陽極の被塗物の金属上に電着して塗膜を形成させる塗料をいう。塗料液は水溶性ないし水分散性のもので電導性をもった塗料で、通電によって塗膜形成成分が一様かつ隅々にまで密着していく。塗膜はそのために欠陥部が少なく、耐食性をもっている。いま述べたのは、アニオン型の塗料が陽極に析出した、いわゆるアニオン電着型であるが、反対に塗料が陽イオンになったカチオン電着型塗料が出現し、防食力の増加、金属表面の前処理の簡略化が可能などの利点により、これが主力となって自動車の下塗り塗料としてエポキシ樹脂から誘導したものが多量に使用されている。
[垣内 弘]
電気めっきの原理を利用して塗装される塗料をいう.水溶性塗料の入ったタンクに被塗物を浸漬し,被塗物を陽極とした適当な陰極との間に直流電流を通じて塗装する.自動車の車体などを塗装するときに用いられ,複雑な形状の被塗物でも膜厚が一定に塗装できる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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