霊魂の不滅(読み)れいこんのふめつ(英語表記)immortality of the soul

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「霊魂の不滅」の意味・わかりやすい解説

霊魂の不滅
れいこんのふめつ
immortality of the soul

人間は霊魂と肉体との結合より成るとみなし,霊魂は肉体が滅びたあとも永遠に存在し,未来の生活をもつという説で,不死説の一種。神話的,原始的霊魂観として一般的で,祖先崇拝,輪廻転生説などに直接発展するところから,宗教の源泉とみなされる。しかし厳密な意味での霊魂不滅説は,自然存在としての人間が,その有限性を克服すべく霊魂と呼ぶ人間の人格性に,神と同類の超自然性を付する要求から生れた積極的思想で,信念だけでなく証明努力を伴った哲学的,神学的傾向をもっている。特に古代ギリシアにおいては,ピタゴラスソクラテスプラトン,プロチノスらがこれを哲学的に思索した。キリスト教における霊魂不滅説の芽生えは,聖書にもみられるが,それは 13世紀になってトマス・アクィナスによる形相質料論において哲学的,神学的に論証された。

霊魂の不滅
れいこんのふめつ
Körkalen

スウェーデン映画。スベンスクビオグラフ 1920年制作。原作セルマ・ラーゲルレーフ。監督脚本,主演ビクトル・シェーストレム。主演ヒルダ・ボルイストレム,トーレ・スベンベルイ。幻想小説『幻の馬車』を映画化したもの。死後世界二重露出で処理するという画期的な方法と,美しい撮影が高く評価された。

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世界大百科事典(旧版)内の霊魂の不滅の言及

【シェーストレーム】より

…スウェーデンの映画監督。〈北欧映画の神秘主義〉を世界に印象づけた名作《霊魂の不滅》(1921)によって知られるサイレント時代の巨匠。舞台俳優から映画界入りし,俳優兼監督として《波高き日》(1917),《生恋死恋》(1918),そしてとくに二重露出の映像効果を最大限に生かした《霊魂の不滅》(1939年にフランスでジュリアン・デュビビエ監督により《幻の馬車》の題で再映画化)等々を発表。…

※「霊魂の不滅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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