日本大百科全書(ニッポニカ) 「静気候学」の意味・わかりやすい解説
静気候学
せいきこうがく
static climatology
気候が各地でそれぞれ変動しないものと考えて、気候要素の平均値を用いて記述する気候学の一分野。動気候学に対する語。通常30年の平均値(平年値)を用いることが多い。気候の地域差を生じる地理的要因(気候因子)との関係は取り扱うが、気候の成因や理論には触れないのが普通である。気候学の発展の歴史のうえで、最初に学問体系が成立したので、古典気候学や平均値気候学とよばれることもある。今日、一般に使われている気候表や気候図の多くは、静気候学の成果に基づいている。1970年代ころまで使われていた用語である。
[河村 武・三上岳彦 2016年4月18日]
『福井英一郎著『気候学概論』(1961・朝倉書店)』▽『吉野正敏著『自然地理学講座2 気候学』(1978・大明堂)』