地球上の気候の分布の場所による差異(地域差)をつくりだす原因。すなわち,気温,降水量,日照,風などの気候要素の分布に影響する要因を指す。気候因子は対象にする地域の広さによって異なる。北半球,アジア大陸,日本全体などを対象にする大気候の場合には,緯度,海陸分布,海流,大地形などが挙げられるが,たとえば関東平野の中や谷間の気候,都市内外の気候差を問題にする中気候や小気候の場合には,より局地的な規模の小さい地形や高度,地上被覆や土地利用の状態,水陸分布などが重要で,大気候の気候因子は重要ではない。
大気候の場合に,熱帯,温帯,寒帯などの気候帯の生じる原因としては,緯度による日射量の差がまず挙げられる。そのほかに大陸気候と海洋気候の差を生じるのは,海陸分布と海岸からの距離が重要な原因の一つである。また大陸の東岸,西岸のいずれにあるかによって東岸気候になるか西岸気候になるかが決まる。ヒマラヤ山脈やロッキー山脈などの大山脈はその両側の地域で異なった気候を生じるだけでなく,ヒマラヤ山脈は冬のシベリア高気圧の発達を促すので,東アジアに冬の寒冷な季節風を吹かせる原因となっている。また温暖な北大西洋海流は西ヨーロッパの冬の気候をやわらげている。
中気候や小気候のような狭い地域の気候差を問題にする場合には,こうした要因は問題にならない。海抜高度の差異,山や谷などの小地形や海・湖・川などの影響,森林・畑・水田・都市などの土地利用や地被の違いがおもな気候因子になる。微気候ではさらに小規模のごく局地的な土地の起伏,地被の違い,地物の存在が原因になる。
このほか,ときには気候変化を起こす要因,つまり黄道傾斜,大気組成,地殻変動,水陸分布,海流などを,気候因子と呼ぶことがある。
執筆者:河村 武
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…このようにどの程度の規模の広がりを対象にとるかという視点から,大気候,中気候,小気候,微気候に分けられる。この分類でとくに注意すべき点は気候の規模が小さくなるにつれて,現象の面積的な広がりが小さくなるだけでなく,上方の限界すなわち高さも低くなることと,気候の場所によるちがい(地域差)を生じる原因(気候因子)が異なることである。気候因子には,緯度,水陸分布,地形,地理的な位置,海流,植生などの地上被覆の状態などいろいろなものがあるが,中気候より規模の小さい気候では,小規模な地形(とくに高度)や地上被覆の状態がとくに重要で,緯度のちがいは問題にならない。…
※「気候因子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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