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動気候学 どうきこうがくdynamic climatology

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

動気候学
どうきこうがく
dynamic climatology

大気の大循環の研究やその説明に大気力学,大気熱力学を用いる気候学静気候学に対する。1930年にハロルド・ベルシェロンが,統計的な気候学と区別して初めて使った用語。総観気候学と混同されやすいが,両者の差異は,動気候学が全地球的な規模であるのに対し,総観気候学は地域的規模の現象を対象とする点である。また,動気候学が理論気候学ともいわれるのに対し,総観気候学は天気予報や長期予報など実用的な分野が中心となる。すなわち動気候学は,全大気のエネルギー過程を気団や前線などの動的な要素から一般化していくものである。

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大辞林 第三版の解説

どうきこうがく【動気候学】

主として高気圧・低気圧・前線などの動きに注目して気候を研究する学問。総観気候学とほぼ同じ。 → 静気候学

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

動気候学
どうきこうがく
dynamic climatology

気候現象の成因論的な説明を目的として、気候を物理的・力学的立場から研究する気候学の一分野。静気候学に対する語で、静気候学がもっぱら気候要素の平均値によって気候を表すのに対して、動気候学では気候を毎日の天気の集積と考えて、それに基づく天候型あるいは大気の循環型などを取り扱う。動気候学という用語は、1930年にスウェーデンの気象学者ベルシェロンTor Harold Percival Bergeron(1891―1977)によって初めて使われたが、用語の意味は、気候学者によって多少異なっている。静気候学が古典気候学とよばれるのに対して、近代気候学とよばれることもある。また、気団に注目する気団気候学、天候の推移に着目する天候気候学、天気図に表現される気圧場を重視する総観気候学などに分けることができる。1960年代から地球環境問題が気候学の主要な研究テーマの一つになり、気候分布を力学的に解明する研究が盛んになった。1980年代以降は、大気科学の一分野としての気候学の飛躍的進展に伴い、動気候学という用語はほとんど使われなくなった。類似の用語として、気象学の一分野に含まれる物理気候学physical climatologyがある。[河村 武・三上岳彦]
『高橋浩一郎著『動気候学――とくに日本の天候について』(1955・岩波書店/復刻版・1978・生産技術センター新社) ▽福井英一郎著『気候学概論』(1961・朝倉書店) ▽吉野正敏著『自然地理学講座2 気候学』(1978・大明堂) ▽吉野正敏・福岡義隆編『環境気候学』(2003・東京大学出版会)』

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世界大百科事典内の動気候学の言及

【気候学】より

…別の基準で分類すれば,物理的気候学と地理的気候学とになる。系統的気候学は,さらに静気候学(統計気候学),動気候学(気団に注目する気団気候学,天候の推移に注目する天候気候学,天気図に注目する総観気候学などに細分),古気候学(過去の時代の気候変化などを研究する分野),応用気候学に分けられる。また,研究対象となる現象の大きさによって大気候学,中気候学,小気候学,微気候学などに分けられる。…

※「動気候学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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