デジタル大辞泉 「面無し」の意味・読み・例文・類語 おも‐な・し【面無し】 [形ク]1 合わせる顔がない。恥ずかしい。面目ない。「はしたなかるべきやつれを―・く御覧じとがめられぬべきさまなれば」〈源・橋姫〉2 遠慮がない。厚かましい。「われをいかに―・く心浅きものと思ひおとすらむと」〈紫式部日記〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「面無し」の意味・読み・例文・類語 おも‐な・し【面無】 〘 形容詞ク活用 〙 ( 顔の意味の「おも」と形容詞「なし」とが結び付いてできた語 )① ( 自分自身の事柄に関して ) 恥ずかしく、人に合わせる顔がない。面目ない。おもはゆい。⇔面立たし。[初出の実例]「臣未だ勅の旨を成さずして、京郷(みやこ)に還(まてこ)ば、労へられて往きて、虚しくして帰れるなり。慚(はつか)しく悪(オモナイ)こと安にか措(お)かむ」(出典:日本書紀(720)継体二四年九月(前田本訓))「はしたなかるべきやつれをおもなく御らんじとがめられぬべきさまなれば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)橋姫)② ( 他人の言動に関して ) 恥ずべきさまである。恥知らずである。あつかましい。臆面(おくめん)もない。また、物怖じしない。[初出の実例]「おもなき事をば、はぢを捨つるとは言ひける」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))「すこし老いて、物の例知り、おもなきさまなるも、いとつきづきしくめやすし」(出典:枕草子(10C終)四七)面無しの語誌上代では、すべて①の意であったが、中古になると、①の意の例はまれになり、一般に第三者の立場からの、②の意を表わすものとなった。ただし、中世、近世の擬古的文章では、再び①の意に用いられるようにもなっている。面無しの派生語おもな‐げ〘 形容動詞ナリ活用 〙面無しの派生語おもな‐さ〘 名詞 〙 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例