日本大百科全書(ニッポニカ) 「音声タイプライター」の意味・わかりやすい解説
音声タイプライター
おんせいたいぷらいたー
人間の話すことばがそのまま文字となって印字されることを願望して考えられた機械。現在まだ実現されていないが、将来オフィスオートメーションの中核となる日本語ワードプロセッサーの入力手段としての期待が大きく、研究開発が続けられている。いちばん早く実現されると思われるのは、日本語の単音節(仮名文字一字に対応する音)を一音一音くぎって発声したものを認識し、その結果を仮名漢字変換と結び付けるものである。連続的に発声された任意の日本語音声を認識する研究も続けられており、一部実用化の見通しもつきつつある。音声による質問回答形式のやりとりを繰り返すことによって、ある限定された目的(タスク)に対しては、音声によってかなり自由に情報を入力できる形の研究が盛んであり、これを音声理解システムとよんでいる。たとえば、航空機や列車の座席予約や情報案内などがその典型として試みられている。音声タイプライターの実現は音声情報処理研究の一つの夢ということができる。
[中田和男]