音化学ともいう。弾性波の化学作用に関連した学問領域で,とくに超音波を活用した分野を呼ぶ。超音波(振動数2万Hz以上)の化学作用は,大別すると弾性波と物質との相互作用によって生ずる物理量の変化に起因するものと,さらにその二次的作用によってひき起こされる現象に分類される。前者は,固体・液体・気体を研究対象として広い分野に利用され,超音波の音速やその減衰を測定する物理化学,溶液中の化学反応への応用,振動緩和現象や相転移の臨界現象を動的に解析する研究などに用いる。後者は,強い超音波を物質に印加することによって生ずる発熱,あるいは空洞発生を利用して,水溶液中での酸化還元現象,高分子の解重合や反応速度の促進等の研究に利用している。音響化学の化学工業への応用には,液体の混合や乳化,化学反応下での生成物の分散やコロイド液の生成等がある。最近は,超音波の単独利用とともに,光や電磁波との複合実験が行われている。たとえば超音波によるレーザー光の回折の利用,固体や液体にレーザー照射して発生する音波の解析による定性分析などがある。今後,超音波によって物質の物性量にどのような変化が起こるかを命題に一層の進展が期待される。
執筆者:井口 洋夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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