首丈(読み)クビダケ

デジタル大辞泉 「首丈」の意味・読み・例文・類語

くび‐だけ【首丈/×頸丈】

[名・形動]《「くびたけ」とも》
足元から首までの高さ。また、物事が多くつもるさま。
「―つもる借銭しゃくせんの」〈浄・薩摩歌
くびったけ」に同じ。
「あの竹輿に乗せて来た女に我等―」〈浄・矢口渡

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精選版 日本国語大辞典 「首丈」の意味・読み・例文・類語

くびっ‐たけ【首丈】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「くびだけ(首丈)」の変化した語 ) 足もとから、首までの丈。転じて、物事の多くつもること。くびだけ。
    1. [初出の実例]「五年も六年もかかって、やうやくそれが畑か田になった頃には、然しもう首ったけの借金が百姓をギリギリにしばりつけてゐた」(出典:不在地主(1929)〈小林多喜二〉一)
  3. ( 形動 ) ( 首の丈まで深くはまるの意から ) ある気持に強く支配されること。思いが深いこと。特に、異性にすっかり惚れこんでしまうこと。また、そのさま。くびだけ。
    1. [初出の実例]「帰りてへは、首ったけだが」(出典:洒落本・多佳余宇辞(1780))
    2. 「質屋の禿頭(はげあたま)め、お京さんに首ったけで」(出典:わかれ道(1896)〈樋口一葉〉中)

首丈の語誌

( 1 )近世前期から上方では「くびだけ」の形で用いられ、文字通り首までの長さを表わし、さらに「首丈沈む」「首丈嵌(は)まる」などの言い回しにも見られるように、この上なく物事が多くつもる意、あるいは、深みにはまる意から異性に惚れ込む意で用いられた。
( 2 )中期以降、江戸を中心に「くびったけ」の形で用いるようになる。江戸ではまた「くびっきり」という言い方もなされた。

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