不在地主(読み)フザイジヌシ

デジタル大辞泉 「不在地主」の意味・読み・例文・類語

ふざい‐じぬし〔‐ヂぬし〕【不在地主】

所有農地のある所在地に居住していない地主。→農地改革
[補説]書名別項。→不在地主

ふざいじぬし【不在地主】[書名]

小林多喜二小説。昭和4年(1929)刊行

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精選版 日本国語大辞典 「不在地主」の意味・読み・例文・類語

ふざい‐じぬし‥ヂぬし【不在地主】

  1. 〘 名詞 〙 自分の農地のある市町村以外の所に住んでいる地主。第二次世界大戦後の農地改革で、不在地主の小作地、小作牧野はすべて国によって強制買収された。
    1. [初出の実例]「都市居住地主━不在地主が、その典型たらんとしつつあるとき」(出典:不在地主(1929)〈小林多喜二〉一二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「不在地主」の意味・わかりやすい解説

不在地主
ふざいじぬし

自己の所有する農地の所在地に居住せず、しかもその農地を貸し付けて所得を得ている者をいう。在村地主に対比される。第二次世界大戦後の農地改革によってその貸付農地はすべて解放された。

[編集部]

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百科事典マイペディア 「不在地主」の意味・わかりやすい解説

不在地主【ふざいじぬし】

所有する土地の所在地に居住していない地主日本ではふつう自分の住所のある市町村区域外に農地等を所有する地主をいい,在村地主に対する。その小作地は農地改革強制買収され,不在地主は農地法で禁じられたが,1970年の改正で小作地平均1haまでの制限付で認められた。
→関連項目寄生地主制

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「不在地主」の意味・わかりやすい解説

不在地主
ふざいじぬし
absentee land proprietor

所有地のある市町村に居住していない地主。通常は農地,ことに小作地についていい,これを所有しながら在村していない地主をいう。第2次世界大戦前の日本では不在地主の所有する小作地が多数存在し,これらの不在地主の多くは都市に生活し,小作地には管理人のみをおいて高額な小作料を徴収させるという寄生的生活をおくっていた。戦後の農地改革では不在地主の農地所有を認めず,すべて小作人に解放させる措置をとったが,1970年農地法の一部改正により,一定条件下での小作地所有を認めることになった。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「不在地主」の解説

不在地主
ふざいじぬし

所有農地の存在する地域(市町村等)に居住していない地主。小作人を管理するため差配人などをおく場合もあった。地主・小作人間の小作米収受以外の諸関係は,在村地主と比較して一般に希薄であった。1920年代の大規模小作争議の当事者は不在地主が多かった。第2次大戦後の農地改革では,不在地主の小作地の保有は認められず,全貸付地が強制買収の対象となった。

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世界大百科事典(旧版)内の不在地主の言及

【地主】より

…幕末期の農民層の分化はさらに地主の土地集積を展開させ,地主は明治初年の維新政府による一連の封建的諸制限の撤廃,なかでも明治維新の土地変革である地租改正によって,地主的土地所有として体制的に容認されることになった。【佐藤 常雄】
[近代]
 近代の地主は農地などその所有する土地を貸し付け,その地代収入によって生活の基盤とするが,その貸付地が存在する市町村に自分も居住する地主は在村地主,貸付地のある市町村以外で居住する地主は不在地主と一般に呼ばれる。また,その所有農地の一部を貸し出すが,他の部分は自分で耕作する地主を耕作地主,所有農地のすべてを貸し出し,自分では耕作しない地主を不耕作地主と呼んでいる。…

※「不在地主」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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