香港立法会(読み)ほんこんりっぽうかい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「香港立法会」の意味・わかりやすい解説

香港立法会
ほんこんりっぽうかい

香港基本法に基づく香港特別行政区の立法機関任期は4年。

 中国返還後初の選挙となった1998年は、企業や団体の代表が投票する職能別団体選挙(30議席)、各業界代表で構成する選挙委員会による選挙(10議席)、5選挙区の直接選挙(10議席)で行われ、前者二つの間接選挙枠は親中派、直接選挙枠は民主派が多数を占めた。

 その後、選挙は4年ごとに実施されてきたが、2016年の選挙は職能別団体選挙35議席と直接選挙35議席で争われ、急進派を含めた民主派が重要議案を否決できる3分の1超の議席を獲得した。2020年6月に中国政府が香港国家安全維持法を施行し、香港民衆の反発が高まると香港政府は同年7月、新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)拡大を理由に9月予定の立法会選挙を1年延期すると表明。同年11月、香港国家安全維持法に反対した民主派議員4人の資格を香港政府が剥脱し、他の民主派議員15人が辞職した。ほぼ親中派一色となった立法会は2021年5月、中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会の3月の決定に沿って選挙制度見直しに関する条例案を可決立候補可否事前に決める「資格審査委員会」を設置し、「愛国者」の候補者だけを認めるとした。棄権や白票投票を呼びかける行為も違法とした。また、議席定数を70から90に拡大したが、直接選挙枠を35から20に削減し、行政長官や選挙委員会が選出する間接枠を40増やした。香港基本法では「最終的には全議員が普通選挙によって選出される」と定められているが、その実現は遠ざかることになった。

[矢板明夫 2021年7月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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