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棄権 きけんabstention

翻訳|abstention

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

棄権
きけん
abstention

本来は権利を放することであるが,今日ではほとんどの場合,選挙の際に投票しないこと,投票する権利を放棄することをいう。自由民主主義体制においては,棄権するということは自己の政治参加への権利を放棄するばかりではなく,市民として政治に自己の意見を表明する義務を怠っているとも考えられる。しかし,現代大衆社会においては国民個々の匿名性が高まり,棄権することの罪悪感は薄まっている。逆に自分にとって支持できる政党が存在しないという理由で,積極的に棄権する有権者も増加しつつある。前者の市民としての権利と義務の放棄である棄権は政治的無関心の表われであるが,後者のすべての政党を拒否する意味での棄権は政治不信の表われである。

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デジタル大辞泉の解説

き‐けん【棄権】

[名](スル)権利をすてて使わないこと。特に、投票または議決の権利を行使しないこと。「選挙を棄権する」「競技を途中で棄権する」

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世界大百科事典 第2版の解説

きけん【棄権】

認められている権利を自発的に放棄し行使しないことをいうが,とくに選挙において選挙権をもつ有権者が投票しないことをいう。棄権は有権者の政治的関心の低さの結果であると一般に考えられるが,他方で限られた候補者のすべてに対する拒絶でもあると考えられ,一つの政治的選択行為である。選挙結果は投票総数に占める得票率(相対得票率)によって決定されるが,棄権が多ければ,有権者総数に占める得票率(絶対得票率)が低くても当選することになる。

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大辞林 第三版の解説

きけん【棄権】

( 名 ) スル
権利をすてて行使しないこと。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

棄権
きけん

投票、議決参加などの権利を放棄して行使しないこと。選挙は民主主義において民意を表明する政治参加の主要な制度である。しかしアメリカの大統領選挙ではおよそ半数の有権者が棄権し、わが国の総選挙でも3~4割の有権者が棄権をしている。参議院通常選挙の棄権率はさらに高い傾向がある。また農村に比べ都市のほうが棄権率は高い。棄権の増大は、イタリアのように罰則の伴う強制投票制をとる国を除いては、先進諸国共通の傾向である。これら諸国の有権者はすでに政治から経済的にも社会的にも多くの利益を享受しており、投票によって期待できる利益の新たな上乗せ分程度では、投票にかかわる費用(情報収集、時間、労力)に対して引き合わないと考えるからである。しかし戦争、不況などの危機の到来あるいは選挙のイベント(事件)としての劇的性格が高まると、棄権はにわかに減少する。
 ところで、政党や候補者には、いつの選挙でも高い確率で投票する支持度の強い積極支持層がある。さらにその周辺を、選挙状況に応じて投票したり、棄権したり、政治的立場の近い他の政党や候補者に支持を変えたりする消極支持層が取り巻いている。ただしその比率は政党や候補者の性格に応じて異なってくる。わが国の場合、公明党や共産党など組織政党には相対的に積極支持層が多く、棄権の多少つまり投票率と関係なく得票数は比較的安定している。そこで、投票率の低い選挙のほうが、当選ラインが下がり、むしろ有利になる。一方、相対的に消極支持層の多い自民党や民主党にとっては、自党に有利な方向で選挙の劇的性格が高まって投票率が上がり、消極支持層の大量動員に成功することが勝利の鍵(かぎ)となるといわれてきた。しかし、投票率の高低がいずれの政党に有利となるかは、時々の政治・経済状況によっても異なる。なお国連や国会の委員会などでは、議決に際し棄権に特別の政治的意味が込められている場合がある。すなわち、国連では小国が大国の干渉を招かないために、大国の対立する議決に棄権するとか、また国会では党議に拘束された委員が、その党議に対する不服の意思表示として棄権するといった場合がそれにあたる。[堀江 湛]

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