馬出(読み)うまだし

精選版 日本国語大辞典 「馬出」の意味・読み・例文・類語

うま‐だし【馬出】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 馬場で、馬を乗り出す所。馬場本(ばばもと)。⇔馬留(うまとどめ)
    1. [初出の実例]「兵部録一人・史生一人執牘、出馬出幄、立右兵衛陣東辺」(出典:九暦‐九条殿記・五月節・天慶七年(944)五月五日)
    2. 「むまだしよりむまとどめまで、ひまなく、かちのきぬ着たるをのこどもともしたり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)
  3. 城の虎口(こぐち)城門を掩護するために、その前に設ける土塁石塁
    1. [初出の実例]「一、城とり之第一は馬出之取様肝要に候」(出典:上杉家文書‐(年月日未詳)(近世か)馬場信房伝授軍法并城取法覚)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「馬出」の意味・わかりやすい解説

馬出
うまだし

城門前の堀対岸に設けられた小さな郭(くるわ)。三方土居によって囲まれ、人馬出入りを秘匿するとともに虎口(こぐち)を防御する機能がある。桝形(ますがた)よりも攻撃性が強い。形態により角(かく)馬出と丸(まる)馬出とがある。

[藤川昌樹]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の馬出の言及

【虎口】より

…木戸や矢倉を設けるだけのものから,前面に堀を設けて橋や坂で入る橋虎口や堀虎口,両脇の土塁を食違いにして直進を妨げる食違い虎口などが中世城郭でよく用いられた。中世末期に堀の外に小さな台場を張り出した馬出(うまだし)と,塁で囲んだ方形の空間をはさみこんだ枡形(ますがた)が考案され,近世城郭で完成した。発達した虎口ではいずれの形にせよ迂回・屈曲がみられる。…

※「馬出」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android