馬手(読み)メテ

デジタル大辞泉 「馬手」の意味・読み・例文・類語

め‐て【馬手/右手】

馬上手綱を取る方の手。右の手。⇔弓手ゆんで
右の方。右。⇔弓手
「左には倶摩羅くまら将軍、―には阿吒薄あたはく元卒大将」〈露伴・新浦島
馬手差めてざし」の略。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「馬手」の意味・読み・例文・類語

め‐て【馬手・右手】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「馬上で手綱を取る方の手」の意から ) 右の手。弓を取る左の方の弓手(ゆんで)に対していう。みぎて。
    1. [初出の実例]「構へて此を射ばやと思ひけれども、女手なれば可射き様も无くて」(出典:今昔物語集(1120頃か)二七)
    2. 「弓手のかひな・馬手に四寸のびて」(出典:保元物語(1220頃か)上)
  3. 右の方。右の方面。みぎ。みぎて。
    1. [初出の実例]「おとさんずる谷をば弓手にみなし、馬手へあゆませゆく程に」(出典:平家物語(13C前)九)
    2. 「六角堂は遙かの東に思ひやり、二条の城を妻手(メテ)になし」(出典:仮名草子・浮世物語(1665頃)一)
  4. めてぎり(馬手切)」の略。
  5. めてざし(馬手差)」の略。
  6. 酒を好む辛党を左党などというのに対して、甘い物を好む人。甘党
    1. [初出の実例]「馬手(メテ)な客は座敷で喰ちらし」(出典:洒落本・浪花花街今今八卦(1784))

ば‐しゅ【馬手】

  1. 〘 名詞 〙 馬の口取。馬の世話をする人。特に近代競馬で、厩舎に所属して馬の世話にあたる人。厩務員

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世界大百科事典(旧版)内の馬手の言及

【競馬】より


【競馬にたずさわる人々】
 競馬施行の主催者である日本中央競馬会は,競馬法により馬主の登録をし,調教師,騎手に免許を与え,厩舎(きゆうしや)の貸付けを行う。そして調教師が雇用する調教助手,馬手の承認を行う。
[馬主]
 馬主登録には個人,法人の2種類があり,最近では税金対策,競走馬価格の高騰などの理由から法人馬主が増加の傾向にある。…

【右と左】より

…日本文化の場合,いったい尚右なのかそれとも尚左なのかは,一概に論ずることはできないが,右優位を暗黙の前提としていることが多いようである。 なお,古くは右または右手を馬手(めて)(馬上で手綱を持つ手),左または左手を弓手(ゆんで)(弓を取る手)と呼んだ。例えば《保元物語》に剛弓を引く源為朝は〈弓手のかひな馬手に四寸のびて,矢づかを引く事世に越たり〉とある。…

※「馬手」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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