骨無し(読み)コチナシ

デジタル大辞泉 「骨無し」の意味・読み・例文・類語

こち‐な・し【骨無し】

[形ク]
不作法である。無礼だ。
「悩ましくなむ、と事無しび給ふを、しひて言ふも、いと―・し」〈手習
無骨だ。無風流だ。
「男なんどは―・うもぞおぼしめす」〈平家・一〇〉

こつ‐な・し【骨無し】

[形ク]こちなし」に同じ。
「田舎男にて、―・き様の風情にて、舞を舞ひ給へとこそ申しつらめ」〈義経記・六〉

ほね‐なし【骨無し】

身体を支える骨がないかのように、姿勢を保てないこと。
意志信念などがないこと。また、その人。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「骨無し」の意味・読み・例文・類語

こち‐な・し【骨無】

  1. 〘 形容詞ク活用 〙 ( 「こち」は「骨」の呉音 )
  2. 無作法である。ぶしつけである。無礼である。
    1. [初出の実例]「ことなしび給ふを、しひて言ふも、いとこちなし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)手習)
  3. 無骨である。不風流である。洗練されていない。体裁が悪い。
    1. [初出の実例]「日高くまたれ奉りて参り給ひければ、少し骨なくおぼしめさるれど」(出典:大鏡(12C前)二)

骨無しの補助注記

中世以降に用例が見られる「ぶこつ(無骨)」は「こちなし」を漢字で表記したことによって生じた語と考えられる。

骨無しの派生語

こちな‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

骨無しの派生語

こちな‐さ
  1. 〘 名詞 〙

こつ‐な・し【骨無】

  1. 〘 形容詞ク活用 〙こちなし(骨無)
    1. [初出の実例]「侍、『とくめし候へ』とてをしあげたり。こつなくやをしたりけむ」(出典:金刀比羅本平治(1220頃か)中)

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