高尾野郷(読み)たかおのごう

日本歴史地名大系 「高尾野郷」の解説

高尾野郷
たかおのごう

出水郡の中央部に位置した外城。鹿児島藩直轄領。東は出水郷、西は野田のだ郷、南は薩摩郡とう郷などに接し、北は海(八代海)に面していた。郷域は現在の高尾野町のうち、出水郷に属した江内えうち地区を除いた地域にあたり、柴引しばひき大久保おおくぼ下高尾野しもたかおの唐笠木からがさき上水流かみずる・下水流の六村で構成されていた。郷内を出水街道が横断する。

中世には山門やまと院のうちで、同院を含む出水郡は一五世紀後半以降は薩州家島津氏の領有するところであったが、諸郷地頭系図によると、近世初頭、薩州家支配の時代の地頭は市来加賀守家諸入道元斎(文禄三年没)であったという。文禄二年(一五九三)薩州家島津忠辰が改易されると出水郡は豊臣氏の直轄領となり、同四年には同郡のうち一万石が対馬宗義智に与えられた。このときの出水郡内知行方目録には「高尾野之内」と冠して、はゝ(馬場)村・とや(遠矢)村・松かの(松ヶ野)村・おつか(小塚)村・ゑのきその村・のろ川村・上の原(上ノ原)村・からかさ木(唐笠木)村・中小路村・宮その(宮園)村・ミたちさか村・とほその村・大くほ(大久保)村・新町・志はひき(柴引)村・たへの原村・つる(水流)村の一町一六村があげられており、郷のほぼ全域が宗氏領となったと思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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