朝日日本歴史人物事典 「高砂浦五郎」の解説
高砂浦五郎(初代)
生年:天保9.11.20(1839.1.5)
明治期の力士。相撲界の近代化に尽くした。上総国(千葉県)山辺郡大豆谷生まれ。本名山崎伊之助。阿武松の門に入り,明治2(1869)年入幕,6年まで幕内力士(前頭筆頭)として活躍。同年の岐阜巡業中に力士の待遇改善を求めて行動を起こし,同志を代表して交渉役を務めた。これにより会所(協会)から他の数名と共に除名され,やむなく名古屋で高砂改正組を組織して東京に対抗(高砂事件)。4年余の苦闘の末,11年会所と和解し合併。のち,正取締に選ばれ,22年会所を東京大角力協会と改称。指導者としての本領を発揮,次々と旧弊を打破し,今日の大相撲興行の原型となる諸々の制度を確立した。のちに永年取締に推されるが,権力争いの種になることを恐れて辞退した。門下から西ノ海嘉治郎(初代),小錦八十吉の2横綱らが出た。
(木村庄之助28代)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報