鷂の(読み)ハシタカノ

デジタル大辞泉 「鷂の」の意味・読み・例文・類語

はしたか‐の【×鷂の】

[枕]ハシタカの羽や尾、また、鈴をつけ鳥屋とやに飼う意から、「端山はやま」「尾上をのへ」「すず」「外山とやま」などにかかる。
「―外山の庵の夕暮れを」〈新勅撰・恋五〉
「―端山がくれの露なれや」〈新続古今・恋一〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「鷂の」の意味・読み・例文・類語

はしたか‐の【鷂の】

  1. 鷂がとがえる(毛が抜けかわる)から、「とがえる」の「と」と同音を含む語に続く。
    1. (イ) 「外山(とやま)」にかかる。
      1. [初出の実例]「はしたかの外山の庵の夕暮をかりにもとだに契りやはする〈藤原知家〉」(出典:新勅撰和歌集(1235)恋五・九八六)
    2. (ロ) 地名「とや野」にかかる。一説鳥屋(とや)と同音で続くとも、また、これが元で「外山」にかかるように転じたともいう。
      1. [初出の実例]「箸鷹のとや野の浅茅踏み分けておのれも帰る秋の狩人〈順徳院〉」(出典:新続古今和歌集(1439)秋下・五五四)
  2. 「野守の鏡(野原にある池)」にかかる。雄略天皇が鷹狩りの際見失った鷹を、野守が野中の池にうつった影でありかを見出したという伝説によるという。
    1. [初出の実例]「はし鷹の野守のかがみえてしがな思ひ思はずよそながら見む」(出典:俊頼髄脳(1115頃))
  3. 鷹狩りの鷹に鈴をつけるところから、「すず」と同音を含む地名「珠洲(すず)」や副詞の「すずろ」にかかる。
    1. [初出の実例]「はしたかのすずろがさでも古るさせて据ゑたる人の有難の世や」(出典:山家集(12C後)下)
  4. 鷹の羽交(はかい)の意で地名「羽易(はがひ)の山」に、また、同音「は」を含む「端山(はやま)」にかかる。
    1. [初出の実例]「はし鷹の羽かひの山を朝行けば飛火の原に雉子鳴く也〈藤原隆信〉」(出典:続後拾遺和歌集(1326)春上・六〇)
  5. 鷹の尾の意で、「尾上(をのへ)」にかかる。
    1. [初出の実例]「はしたかの尾上の雪の曙に真柴を払ふ袖の寒けさ〈藤原資明〉」(出典:新千載和歌集(1359)冬・七一八)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

戒厳令

一般的には指定地域で、国の統治権の全部または一部を軍に移行し、市民の権利や自由を保障する法律の一部効力停止を宣告する命令。戦争や紛争、災害などで国の秩序や治安が極度に悪化した非常事態に発令され、日本...

戒厳令の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android