国指定史跡ガイド 「鹿島神宮境内」の解説
かしまじんぐうけいだい【鹿島神宮境内】
茨城県鹿嶋市宮中にある神社。指定名称は「鹿島神宮境内 附郡家跡(つけたりぐうけあと)」。県の南東部、北浦と鹿島灘に挟まれた鹿島台地上にあり、平安時代の『延喜式神名帳』では伊勢神宮・香取神宮(千葉県香取市)とともに神宮の称号で呼ばれていた。祭神は竹甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)、創建は神武天皇のころといい、『常陸国風土記(ひたちのくにふどき)』には高天原から降った「香島の天(あめ)の大神」の神話が記される。香取神宮とともに蝦夷(えみし)に対する大和朝廷の前線基地とされ、藤原氏の氏神としても崇敬され、武神・軍神としての信仰を集めてきた。鹿島神宮とともに香島(鹿島)天大神と呼ばれてきた境外社の坂戸(さかと)神社、沼尾神社の境内とともに、1986年(昭和61)に国の史跡に指定される。奈良時代に鍛造されたと推定される。長さ271cmの国宝の直刀を所蔵するほか、江戸時代初期再建の本殿・拝殿・楼門など7棟が重要文化財に指定されている。鹿島神宮の南約1.5kmのところにある郡家跡は、8~10世紀にかけて鹿島郡の郡庁・厨(くりや)施設・正倉(倉庫)などがあったところで、2005年(平成17)に附として追加指定された。JR鹿島線鹿島神宮駅から徒歩約10分。