麦や節(読み)ムギヤブシ

デジタル大辞泉 「麦や節」の意味・読み・例文・類語

むぎや‐ぶし【麦や節】

富山県五箇山ごかやま地方の民謡能登輪島あたりの歌が伝わったものという。紋服はかま・白だすき姿に菅笠を持った青年の軽快な踊りがつく。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「麦や節」の意味・わかりやすい解説

麦や節
むぎやぶし

富山県の南西端、五箇山(ごかやま)地方の民謡。麦屋節ともいう。五箇山は南砺(なんと)市に属する山あいの秘境で、合掌造と大家族制度、そして平家落武者の伝説で知られた所。近年は道路が整備され、観光地として脚光を浴びている。この五箇山はまた民謡の宝庫で、『麦や節』もそのなかの一つ。「こきりこ節」などとともに「五箇山の歌と踊」として国の選択無形民俗文化財に指定されている。この唄(うた)の源流は、石川県能登(のと)半島の輪島地方で歌われていた、そうめんづくりの仕事唄である。それを、冬の農閑期に輪島地方へそうめんづくりに行っていた五箇山の人たちが持ち帰って歌っていたものを、明治時代の末、歌曲を整理し、いまの形にした。「麦や菜種は……」と歌い出すところから『麦や節』と名づけられ、菅笠(すげがさ)を持ち、紋服に袴(はかま)をつけ、白だすき姿の若者のきびきびした踊りがつく。

斎藤 明]


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