麻布村(読み)あざぶむら

日本歴史地名大系 「麻布村」の解説

麻布村
あざぶむら

現港区の中央部、麻布台地の南方に傾斜する斜面に発達した村。鎌倉時代には浄土真宗の拠点となった善福ぜんぷく寺の所在地として知られた。住持の了海願明について、親鸞弟子を総覧した光照寺本親鸞聖人門侶交名牒には「アサフ」の了海と記されており、この時にはすでに麻布の地名が広く知られるところとなっていた。文亀二年(一五〇二)九月二八日に、本願寺九代の実如から善福寺に贈られた蓮如肖像裏書には「阿佐布」の地名が記されている(「絹本着色蓮如肖像裏書」武蔵史料銘記集)。また永禄九年(一五六六)一〇月二日の北条家掟書(善福寺文書)には、充所である善福寺を称して「阿佐布」と記してある。北条氏所領役帳にも御馬廻衆の狩野大膳亮の所領として江戸阿佐布(五三貫二〇〇文)の地名が挙げられている。さらに天正一八年(一五九〇)四月に善福寺へあてた豊臣秀吉禁制では「白金之郷阿佐布」とあり、阿佐布が白金しろかねの領域に組込まれていることがわかる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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