黒橡(読み)クロツルバミ

デジタル大辞泉 「黒橡」の意味・読み・例文・類語

くろ‐つるばみ【黒×橡】

黒に近い濃いねずみ色。喪服に用いる。
「―の御小袿こうちぎに、けざやかなる御色のほど有様など」〈栄花・鶴の林〉

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精選版 日本国語大辞典 「黒橡」の意味・読み・例文・類語

くろ‐つるばみ【黒橡】

  1. 〘 名詞 〙 黒みを帯びたつるばみ染め。喪服に用いる。
    1. [初出の実例]「濃き鈍(にび)色の御衣(おんぞ)一襲(かさね)、くろつるばみの御小袿(こうちぎ)うち出でて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲中)

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色名がわかる辞典 「黒橡」の解説

くろつるばみ【黒橡】

色名の一つ。ドングリ煎汁せんじゅうを鉄媒染で染めたみがかった。泥で染めたような黒は身分の低い者が着用する衣服の色であったが、ドングリによって染めた黒橡は貴人の喪服に用いられ、伝統色名として受け継がれてきた。「橡」とはブナ科クヌギ古名で、その実のドングリを古来から染色に用いてきた。媒染によって色が異なり、灰汁あくを用いて染めると黄橡となる。赤白橡青白橡は「橡」という言葉を用いるが、橡を使って染めた色ではない。

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