アダムス‐ストークス症候群(読み)あだむすすとーくすしょうこうぐん

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

アダムス‐ストークス症候群
あだむすすとーくすしょうこうぐん

心臓の拍動リズムの異常に基づく脳血流低下によって生ずる発作性の意識障害。アイルランドの内科医R・アダムズ(1827)と、同じくW・ストークス(1846)とがそれぞれ独立に発表した。以前は、心臓内の刺激伝導障害(ブロック)などに基づく高度な徐脈、あるいは心停止による意識障害をさしていたが、最近は心電図記録法の発達に伴い、心室性頻拍症、心室細動などの頻脈性の調律異常によるものも含めている。意識障害の程度は、脳血流の停止時間によって異なる。5秒以内ではめまいを感じるだけであるが、5~10秒では意識がなくなる(失神)。10秒以上停止すると、てんかん様のけいれんがおこり、呼吸も止まる。3~4分以上続くと、脳に不可逆的変化をおこして死亡することもあるので、早期の的確な処置が必要である。

 意識障害の原因によって治療が異なるため、心電図による診断が不可欠である。徐脈性の調律異常の場合には、恒久的ペースメーカーの植え込み術が行われ、頻脈性の調律異常に対しては、抗不整脈剤の投与が行われる。

[井上通敏]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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