化学辞典 第2版 の解説
1,2,3,4,5,6-ヘキサクロロシクロヘキサン
ヘキサクロロシクロヘキサン
1,2,3,4,5,6-hexachlorocyclohexane
C6H6Cl6(290.83).略称BHC.ベンゼンヘキサクロリドともいう.紫外線またはアルカリの存在下で,ベンゼンに塩素を付加させてつくる.理論上8種類の異性体があり,すべて知られている.粗生成物の組成は,α 64%,β 10%,γ 13%,δ 9%,その他4%.一般に水に不溶,有機溶剤に可溶性の結晶で,蒸気は粘膜を刺激する.γ-およびα-異性体は殺虫力が強く,前者はとくに,ガメキサン(gammexan)とよばれる.融点は,α 158 ℃,β 312 ℃,γ 112.5 ℃,δ 138 ℃,ε 219 ℃,η 99 ℃.吸入すると頭痛,吐き気,下痢などの亜急性毒性,肝臓障害の慢性毒性を示す.農薬,衛生用殺虫剤として多量に使われたが,環境問題が生じて,現在は使用されていない.LD50 α 177,γ 91~190,δ 1000 mg/kg(ラット,経口)[CAS 608-73-1]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報