3F爆弾(読み)さんエフばくだん

百科事典マイペディア 「3F爆弾」の意味・わかりやすい解説

3F爆弾【さんエフばくだん】

水素爆弾外側天然ウラン238Uで包んだもの。まず起爆用原子爆弾核分裂fissionし,次に水素同位元素が核融合fusionを行い,これから出た高速中性子238Uが核分裂fissionするのでこの名がある。威力は大きくなるが放射性生成物が大量に生じるため,〈きたない水爆〉といわれる核兵器である。
→関連項目核兵器

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「3F爆弾」の意味・わかりやすい解説

3F爆弾
さんエフばくだん
fission-fusion-fission bomb

戦略兵器として用いられた熱核爆弾の一形式。引き金として分裂反応 fissionを用い,それによって重水素の融合反応 fusionが起り,さらにタンパー (外皮) の天然ウランの分裂反応 fissionが起るので,その頭文字を取りこの名がある。天然ウラン 238を使うので比較的安価で大爆発力を生じるが,分裂反応の部分が多いので,放射性の分裂生成物を大量に生じ,いわゆる「きたない水素爆弾」となる。 1954年3月のアメリカのビキニ実験で最初に使われた。現在の核兵器にはほとんど使用されていない。

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世界大百科事典(旧版)内の3F爆弾の言及

【核兵器】より

…この反応はかなり高い確率で生ずるし,生成した三重水素はさらに(3)の反応に関与することとなる。以上の熱核反応で発生したエネルギーの大部分は質量の小さい中性子が運動エネルギーとして持ち去ることとなり,これが後述の3F爆弾や中性子爆弾の実現を可能としている。 核融合反応を起こすには数千万Kの温度が必要であり,現在地上でこのような温度を作りうる唯一の方法は核分裂反応を用いることである。…

※「3F爆弾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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