フィッショントラック法(読み)フィッショントラックほう(英語表記)fission track method

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フィッショントラック法」の意味・わかりやすい解説

フィッショントラック法
フィッショントラックほう
fission track method

年代測定法の一つ。天然または人工鉱物には必ず微量ウラン 238が存在する。ウラン 238は,自然に核分裂を起し,その核分裂片の通過した跡が飛跡として記録される。この飛跡は非常に安定で,常温では保存することができる。したがって鉱物中のウランの原子数と飛跡の数とから,年代測定ができる。しかし材質によっては 300~700℃に熱されると約1時間で飛跡が消滅してしまう。そのため火山噴出物や人造ガラスなどは,この性質を利用して年代を決定することができる。たとえば遺跡で火を受けた黒曜石を使えば,黒曜石の噴出時の年代ではなく,それ以後人為的もしくは自然的に加熱された年代,すなわち遺跡の年代を知ることができる。

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