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ウラン235,プルトニウム239などの原子核分裂の連鎖反応のさい放出される核分裂エネルギーを破壊目的に利用した核兵器。原子爆弾が人間の殺傷,住宅の破壊に実際に用いられたのは1945年8月6日広島市,8月9日長崎市においてだけであり,投下したのはアメリカ軍であった。しかも,その直後に行われた日本人科学者や報道カメラマンの調査資料は占領軍によって押収され,また進駐後アメリカが行った調査も長い間公開されなかった。そのため史上に比を見ない残虐無道な原爆災害の実相を,世界の市民は長い間知らず,とくに核保有国の多くの市民たちは,原爆を国家威信の象徴と考えてきた。戦後,ソ連,イギリス,フランス,中国がつぎつぎに原爆の実験に成功したとき,それらの国の市民の圧倒的多数はその報道を熱狂して迎えた。原爆を日本以外の国の市民が真剣に考えるようになったのは,ようやく1980年代初めからで,それも主として西ヨーロッパの市民たちである。それは,それまで〈使われない兵器〉と信じこまされていた原爆が,〈限定核戦争〉の名で自分たちの住んでいるところで実際に使われるおそれがあることに気づいたからである。彼らはユーロシマという言葉をつくり,ヒロシマ,ナガサキを身近に感じはじめた。一方,日本では80年代になって中学教科書からヒロシマ,ナガサキの原爆災害写真が除かれるなど,逆の傾向があらわれてきた。原爆は生き残った人たちにも長年にわたって肉体的・精神的苦痛を与えるが,その生き証人である原爆被爆者に対する援護法も,たびたびの請願にもかかわらずまだ制定されていない。その口実として,被爆者と他の戦争被害者を区別するのは妥当でない,などといわれてきた。にもかかわらず,日本人の大多数はヒロシマ,ナガサキの体験によって,日本国憲法の平和主義,とくに戦力放棄を明文化した第9条の世界史的意味を自覚し,核兵器廃絶の思想を堅持してきた。日本政府もこのことを考慮して,非核三原則(核兵器をつくらず,持たず,持ち込ませず)を国是としている。
→核戦略 →核兵器 →原水爆禁止運動 →原爆被爆者 →原爆文学
執筆者:豊田 利幸
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(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)
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ウラン235、プルトニウム239などの核分裂性物質の、瞬間的な核分裂連鎖反応で発生する大量のエネルギーを利用した爆弾。アメリカは第二次世界大戦中にマンハッタン計画とよばれる原子爆弾製造計画で、1945年7月16日、アラモゴード砂漠で世界最初の原子爆弾を爆発させ、8月6日には広島に、9日には長崎に、それぞれ1発の原子爆弾を投下して、この二つの都市を壊滅させた。
[服部 学]
原子核分裂あるいは核融合反応によって発生する,巨大なエネルギーを瞬時に放出する爆弾.一般に,原子爆弾といえば 235U の核分裂反応を利用したものであるが,このほかには,239Pu の核分裂を利用したもの(プルトニウム爆弾),重陽子と三重陽子の核融合反応を利用したもの(水素爆弾)などがある.原子爆弾の効果には,高熱,放射線,衝撃波の三つがあり,TNT爆弾とは比較にならない破壊力を示す.原子爆弾の爆発力を表すキロトンまたはメガトンという単位は,このTNT相当量の爆発力をいう.
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原子核の分裂により放出されるエネルギーを利用した核兵器。原爆と略称。ウラン235(広島型)やプルトニウム239(長崎型)がおもに使われる。第2次大戦中アメリカは,ヨーロッパから逃れてきたユダヤ人科学者などの協力を得て原爆開発を推進し(マンハッタン計画),1945年(昭和20)7月16日ニューメキシコ州で世界初の原爆実験に成功。同年8月6日広島,同月9日長崎に原爆を投下した。原爆は放射能汚染をともない,現在でも原爆症で苦しむ人々がいる。
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…45年研究所を退いたが,その後も研究室をもらって終生研究を続けた。この間,1939年にはL.シラード,E.テラー,E.ウィグナーの要請により,核分裂が軍事的に利用される危険性があることを指摘し,それをナチスが開発する可能性のあることを警告する,シラードの起草になる手紙をアメリカ大統領ローズベルトに書き,これがアメリカの原子爆弾開発計画の発端となった。しかし,彼はこの計画になんら関与せず,その進展についてなにも知らなかった。…
…核兵器は,エネルギーを放出するおもな核反応が核分裂であるか核融合であるかによって,核分裂兵器と核融合兵器とに二大別される。前者は原子爆弾(原爆),後者は水素爆弾(水爆)とも呼ばれる。
【開発の歴史】
1938年ドイツのO.ハーン,F.シュトラスマンらはウランの核分裂を発見した。…
※「原子爆弾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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