FeRAM(読み)えふいーらむ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「FeRAM」の意味・わかりやすい解説

FeRAM
えふいーらむ

コンピュータのメモリーに用いられるRAM(ラム)の一種。強誘電型読み書きメモリーferroelectric random access memoryの略語FRAM(エフラム)ともいうが、これはアメリカのラムトロンRamtron社の登録商標であり、富士通は同社とのライセンスによりこの名称を用いている。

 強誘電体は電界の方向により分極が生じ、電界を取り除いてもその状態を保持するための電力は不要である。この性質を利用して、強誘電体薄膜半導体基板に集積して、書き込まれたデータが電源を切らない限り保持されるSRAM(エスラム)(スタティックRAM)または一定時間ごとに書き直しが必要なDRAM(ディーラム)(ダイナミックRAM)に似た回路構成で用いると、SRAMに匹敵する高速読出し・書込み性能、電気的に情報の消去が可能なEEPROM(イーイーピーロム)(electrically erasable and programmable ROM)と同様な不揮発性能、DRAMに相当する回数の読出し・書込みが可能で、低電圧・低消費電力で動作する。膜厚むらを防止する平坦(へいたん)化技術の進展チタン酸ジルコン酸鉛PZT)などの強誘電体材料の使用、イオンミリング(イオンビームによる加工)によるエッチング技術の進展などにより、読み書きの高速処理化と大容量化の開発が進められている。

[岩田倫典]

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「FeRAM」の解説

FeRAM

電源の供給がなくても記憶を保持できるメモリー。電源の供給がなくても電荷が保持される強誘電体という素材を用いている。これにより、電源の供給がなくても記憶を保持できる不揮発性という特性を持つ。フラッシュメモリーの10倍以上におよぶ高速な読み書きが可能。また、信頼性の面においてもフラッシュメモリー、EEPROMに勝る。松下電器産業が量産化に成功している。

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化学辞典 第2版 「FeRAM」の解説

FeRAM
エフイーアールエーエム

ferroelectric random access memoryの略称.[同義異語]FeRAM(エフイーラム)

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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