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強誘電体 きょうゆうでんたいferroelectric substance

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

強誘電体
きょうゆうでんたい
ferroelectric substance

誘電体のうち,自発的な電気分極 (正の電荷と負の電荷の位置が異なるため,互いに打消されず外から見ると電気的変位を生じたもの) をもち,それが電界によって方向を反転しうる物質をいう。古くから知られているのはロシェル塩である。通常は,このような自発的な電気分極の向きがばらばらであるため,電界を印加しないときは全体の電気分極は0である。電界を印加するとそれらが電界方向に並び,大きな電気分極となる。この電気分極は,外部からの電界,光などと相互作用するので,これらを利用してコンデンサ材料,圧電材料,光変調,光偏向などに応用されている。強誘電体としては,チタン酸バリウムPZTなどが代表的である。

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百科事典マイペディアの解説

強誘電体【きょうゆうでんたい】

普通の誘電体電場内でだけ誘電分極を生じるのに対し,自然の状態ですでに誘電分極を起こしている(自発分極)物質。磁気の強磁性体に対応する。一般に誘電率が大きく,また誘電分極の大きさが現在の電場の強さだけで決まらず過去の状態に依存する(ヒステリシス)。

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大辞林 第三版の解説

きょうゆうでんたい【強誘電体】

外から電場をかけなくても、電気分極をあらわす性質(自発分極)をもつ物質。チタン酸バリウム・ロッシェル塩など。圧電効果を示すので、音響機器などの回路素子に用いる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

強誘電体
きょうゆうでんたい

もともと電気分極をもっている物質のことをいう。プラスの点電荷とマイナスの点電荷とが近い位置に存在して1対をなしているものが電気双極子(または単に双極子)である。このとき、プラス、マイナス電荷の絶対値をq、マイナスの点電荷の位置からプラスの点電荷の位置へ引いた位置ベクトルをrとして、μ=qrはこの双極子のモーメントといわれる。物質の中にこのような双極子がたくさん存在するとき、それらのモーメントの代数和の単位体積当りの値 P= がこの物質の電気分極とよばれる量である。ただし、μiはi番目の双極子のモーメントである。物質の電気分極のようすのことを物質の誘電性という。
 誘電性には常誘電性と強誘電性とがある。前者では、Aに示すように、電界Eが0のとき電気分極Pは0であり、PとEとの関係がほとんど直線である。後者では、Bに示すように、Eが0であってもPは0ではなく、PとEとの関係が著しく非直線的であり、かつEを増加するときと減少するときとでPの値が異なる。すなわち、常誘電性ではPはEで誘起されて初めて存在するのに対して、強誘電性ではもともと電気分極が存在する。このような電気分極は自発(電気)分極とよばれる。常誘電性を示す物質を常誘電体といい、強誘電性を示す物質を強誘電体という。なお、強誘電体のBに示されるようなP‐E曲線のことを(P‐E)履歴曲線という。強誘電体の温度を上げると、ある温度でその強誘電性が消滅して常誘電性に変わる。この温度をキュリー温度またはキュリー点という。すなわち、強誘電体はキュリー点で強誘電相から常誘電相へ相転移をする。
 強誘電体としては現在までにチタン酸バリウムなど約250種類の物質が知られている。強誘電体はコンデンサー材料、ピエゾ電気材料、パイロ電気材料、電気光学材料などとして重要なものとなっている。[沢田正三]

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世界大百科事典内の強誘電体の言及

【電気分極】より

…極性結晶には,電場を加えたとき自発分極の向きが反転するものとしないものとがある。前者を強誘電体という。極性結晶に外から応力を加えると,電気分極を生ずる。…

【誘電体】より

…静電容量Cの平行平板空気コンデンサーの極板間を,比誘電率εの誘電体で満たすと,静電容量はε倍になる。比誘電率の値は,気体ではほぼ1に等しく,通常の固体では2程度から10程度までの値をもつが,チタン酸バリウムなどの強誘電体では103程度の大きな値に達する。なお,誘電体に周波数ωの電場を加えて,同じ周波数の電束密度が生ずるときに,ε(ω)をその誘電体の誘電関数という。…

※「強誘電体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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